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140字小説 No.586-590

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【No.586 サイコロステーキ】
サイコロステーキがおいしい店に訪れる。隣の客が食べているものが目に入ってぎょっとした。すごろくなどに使う本当のサイコロを鉄板で焼いているのだ。木製ならこんがりと焼き目が付いて、鉄製なら中までしっかりと熱が通る。二十面サイコロは焼く面が多くて面倒な分、味に深みが出るそうだ

【No.587 概念泥棒】
古今東西ありとあらゆるものを盗む稀代の大泥棒と対峙する。試しに「貴様に盗めないものはないらしいな。俺から何か奪ってみろ」と挑発する。大泥棒が不敵な笑みを浮かべると「もう盗んださ」「マジ? なんかわからんけどやっば。とりま証拠を出せっつーの。すげーあやしくね?」奪われていた

【No.588 しせん】
どこか妖しげな印象を受ける大人のお姉さんが、裏路地で何人もの男を銃で殺していた。返り血を浴びたお姉さんが僕に近づいてきて「見た?」と確認してくる。こわくなって無言で頷くと、お姉さんが静かにほほえむ。僕はその扇情的な表情に目を奪われて、声を失って、体の自由が効かなくなった

【No.589 金魚すくい】
夏祭りの屋台で金魚すくいを見かける。その店はポイの代わりにシャボン玉を使うそうだ。ふっ、と生み出した泡で金魚を包む。優しく作った泡なら金魚は暴れずに、ボウルの中まで運ばれていく。隣の名人がシャボン玉を吹くとまるで水槽のように、何百匹もの金魚が泡の中で浮かんでは泳いでいた

【No.590 なくしもの】
最終電車の運転も終わって帰路につこうとすると、線路付近で女性がふらふら歩いていた。赤いワンピースを着た女性は「この辺りで失くしたんです」と何かを必死に探している。女性が不恰好に歩く。「他のは見つけたんですけどね、あと一部だけ見当たらないんです。あなたが失くしたんですよ」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652