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140字小説 No.471-475

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【No.471 ビンカン肌(いろは式「ひ」)】
ビンカン肌になってしまう。皮膚は硬く叩けばゴツゴツと音がする。ところどころ柔らかい箇所もあって、軽く押すだけでベコベコにへこんでしまう。この腕もそろそろ取り替える時期なのだろう。腕を外して部分ごとに瓶と缶に分別する。リサイクルされた肌はまた、つやつやした新しい腕になった

【No.472 もらい事故(いろは式「も」)】
もらい事故を起こしてしまった。彼女の誕生日に向けて、何週間も前からプレゼントを選んで、家に向かっているときのことだ。いつかこういう日が来る予感はあった。でも、注意深く確認したつもりなのに。彼女が「私、同じバッグ持ってるんだよね」と貰い事故を嘆く。人に物を贈るのは苦手だ

【No.473 青春のヒビ(いろは式「せ」)】
「青春」をテーマに美術の授業で絵を描くことになった。バラ色の日々を表現するために赤や黄色の絵の具を買い込んだり、文字通り青臭さをイメージして青系の絵の具を集めたりした。思い出せる限りの私の青春をキャンバスに描き込む。なのに、なぜだろう。灰色の絵の具だけがすり減っていった

【No.474 すいそう(いろは式「す」)】
素晴らしい朝を迎える度に、みすぼらしい私を自覚する。「そんなの水に流せばいいじゃん」が私の口癖だった。夢も、希望も、思い出も、この村も、今日の夜には水の底に沈んでしまう。私だけを残して村の人々は去っていく。依代、人柱、犠牲。呼び方はどうでもよかった。水に流してしまえば、

【No.475 ソレナウイルス】
「日本中でソレナウイルスが蔓延しているらしい。どんなに人が真剣に話しても、どんなに自分の話が理解できなくても、その病気になった者は『それな』の一言で済ませてしまうそうだ。治療方法は確立されてなくて、大人よりも若者の方が罹りやすいんだってさ。お前も気をつけろよ」「それな」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652