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140字小説 No.736‐740

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【No.736 余命宣告】
俺の余命はあと一週間もないそうだ。ベッドの上で天井を眺める。どうせ死ぬのだから、今まで犯した罪を看護師に懺悔した。「だ、そうですよ。刑事さん」医師だと思っていた隣の男が笑う。「嘘の余命宣告をしてもらった。お前は憎らしいほど元気だよ。これから、懲役二十年を受けてもらう」

【No.737 エモコン】
上司が不機嫌だからエモコンで感情を操作する。笑顔ボタンを押して情緒量も上げていく。泣きたいときは自分に向けて哀憐ボタンを押せば、悲しくもないのに涙が溢れてきた。感情なんて簡単に操れる。今、喜んでいても。今、怒っていても。自分の気持ちが正しいことのか証明にはならなかった

【No.738 金塊くじ】
スクラッチくじを100円玉で擦っても削れなかった。なんでも、当選金額以上のものでしか削れないそうだ。試しに100万円の時計で削ると50万円が当たった。やがて、金塊でも削れないスクラッチに僕と店員さんは目を丸くする。「この金塊の価値って?」「今だと500円ですね」

【No.739 憐藍】
現代文の先生が恋と愛の違いについての授業を行った。「好き『だから』が恋。嫌い『だけど』が愛だと思うの」結婚してすぐ旦那さんを亡くした先生は今、どんな気持ちでいるのだろう。『I love you』を「作り笑いが下手になってしまった」と和訳した先生の、薬指にはめた指輪がくすんでいた

【No.740 鉄の抒情】
凶悪な犯罪者に【鉄の抒情-アイデンメイデン-】が科せられる。聖母マリアを象った空洞の鉄人形に押し込み、左右の扉に付いた針で心を串刺しにした。個性も、思考も、感情も穴だらけになった犯罪者はただ無機質に生きる。喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさも鉄のように冷たくなってしまった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652