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140字小説 No.671‐675

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【No.671 幽霊動物園】
いつのまにか『幽霊動物園』に迷い込んでしまう。サボテンを主食とするピンタゾウガメ。仲間を助ける優しい習性を持つステラーカイギュウなど、僕の知らない生物ばかりだ。どうやら絶滅してしまった生命らしい。ふと、僕によく似た二足歩行の動物を見つける。看板には【人間】と書かれていた

【No.672 色泥棒】
色泥棒が捕まった。高校生達の青春、俳優への黄色い声援、部活の紅一点。多くの色が持ち主の元へと戻っていった。捕まった色泥棒は、色を失った被害者の気持ちを知るために、罰として白黒の塗り絵を塗らされることになる。パンダ、シマウマ、アリクイ。面白味のない塗り絵に泥棒は涙を流した

【No.673 ナイトココア】
眠れなくなってしまったのでナイトココアを作る。牛乳と切なさと、ほんのちょっとの期待をマグカップに注ぐ。電子レンジで温めると湯気から星が揺らめいた。思い出の色をしたココアを一口含めば、私の心に真夜中が広がる。未だ見ぬ朝のことを想う。おやすみなさい。おやすみなさい、また明日

【No.674 知らない曲】
友人が曲のタイトルを思い出せないそうなので歌ってもらうことにした。なのに「知らない」と言うから僕もお手上げだ。「ちょっとくらいは覚えてるだろ」「知らない」「どんな感じの曲とかさ」「僕は何も知らない」「お前いい加減にしろよ」「叱られた後のやさしさも」六兆年と一夜物語だった

【No.675 蜃気牢】
蜃気牢に囚われる人が年々と増えていく。人の繋がりが希薄になった今、世界中で蔓延している自然現象だ。表面上だけの希望や、叶えたかったいくつかの夢、あるはずもない未来を見せては蜃気楼の檻に閉じ込める。次々に人が現実から消えていく。蜃気牢の中にだけ、幸せそうな人達の影が見えた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652