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140字小説 No.≠121‐125

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【No.≠121 酩酊と低迷】
劇団員の仲間と飲みに行く。「渋い俳優ばかり追いかけてないで、彼氏でも作ったらどうだ」飲み慣れないウイスキーを嗜んで、男はだいぶ酔っ払っていた。相手がいるから幸せなわけでも、一人だから不幸なわけでもないはずなのに。アルコールが強いだけの酒と、世間に対する愚痴を飲み込んだ。

【No.≠122 色織りの彼女】
魔女に色を奪われた地で、彼女は機織り機を使って色を紡いでいます。ある日、彼女から手紙が届きました。『ほんの少しの橙と、肌色があるので私は大丈夫です。だから心配しないでください』彼女は今でも色を紡ぎます。いつか全ての色を取り戻したら、みんな、夕日の美しさを思い出せるはず。

【No.≠123 僕の手料理】
彼女が僕の手料理を食べている姿が好きだ。君の体の一部になれた気がして満足する。料理は苦手だけど、彼女からお願いされる度に僕は手を焼き、包丁で指を切る。幸せそうな顔を見てると、どんなにストレスを感じていても僕の体は軽くなる。あと何回、君に手料理を作ってあげられるだろうか。

【No.≠124 三分間の幸福】
カップ焼きそばにお湯を注いでからの三分間を、彼と話をしながら待つ。「あ、かやくじゃなくてソース入れちゃった」なんて笑って。昔から湯切りが苦手な私の代わりに、いつも彼がお湯を捨ててくれる。一つのカップ焼きそばを二人で分け合う。具も味もないのに、なんだかとてもおいしかった。

【No.≠125 夕華鏡】
手作りの万華鏡を覗き込む。「見て。この角度がすごく綺麗なの」彼女は万華鏡を回さずに、一つの光景ばかりを楽しむ。目の前では夕日が街を覆い隠そうとしている。すぐ近くに綺麗な光があるのに、絶え間ない永遠の一瞬しか見えていない。彼女は作り物の美しさを、ただ、筒に閉じ込めていた。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652