見出し画像

140字小説 No.766‐770

タイトルからツイッターで載せた作品に飛ぶことができます。
お気に入りの作品にいいね、RT、感想などしてもらえると幸いです。

【No.766 従応夢尽】
縦横無尽に駆け巡る夢を、追いかけていた子どもの頃は無敵だった。敵いっこなくても、叶わなくても、ただ振り回されるのが楽しかったのに。大人になった今ではどうだ。檻に入れて、秘密にして、飼い慣らして、なんとも扱いやすい夢に成り下がる。一番望んでいなかった現実になってしまった。

【No.767 窮屈な仕事】
求職中の僕にぴったりな仕事が見つかる。高層ビルの清掃は危険だけど、その分お給料も高かった。僕の吸盤を使えば落ちる心配もない。さらさらとした墨は汚れを綺麗にしてくれる。大活躍の僕に上司は「やるじゃねーか、このタコ!」と罵声を浴びせてきた。そんな、せっかくがんばってるのに。

【No.768 鉢密】
「鉢植えに埋まって花になりたい」が口癖だった彼女は、土の中に埋まった状態で見つかった。以来、森は封鎖されてしまったけど、事件があったからではない。彼女が埋まっていた場所から一輪の花が生えてきたのだ。見た人の理性を狂わせて、人間を土の中へ埋めるように促す。魔性の花だった。

【No.769 斜めの恋】
斜め右前に座っている女の子のことが好きだけど、斜め右前の女の子は斜め右後ろの男の子が好きだ。斜め右後ろの男の子は斜め左後ろの女の子のことが好きだけど、斜め左後ろの女の子は斜め左前の僕のことが好きらしい。真ん中の男の子は蚊帳の外で、つまらなさそうに呟く。「ダイヤ関係かよ」

【No.770 録命】
録画していたドラマを観ながら、録音したデータを記事にまとめる。録香した匂い、録食した味、録触した感覚。今では何でも保存することができる。つまらない人生だろう。と、おそらく画面越しに僕を見つめる誰かに呟く。録命した体だ。巻き戻しも、早送りも、消去も。きっと、誰かの手で——

この記事は有料ですが全編公開になっています。私の活動を応援してくださる方がいましたら投げ銭してくれると嬉しいです。また、サポートやスキのチェック。コメント、フォローをしてくださると喜びます。創作関係のお仕事も募集していますので、どうか、よろしくお願いします。

ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652