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140字小説 No.-046-050

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【No.-046 線香花火】
恋の病を患って入院することになった。病室の窓から覗く線香花火の木を見つめる。パチパチと燃える花火が全て散ってしまったら私は死んでしまうだろう。ドキドキする度に花火が落ちていく。ふいに好きな男の子がお見舞いに来て心臓が高鳴る。蝉が鳴く。ラムネが弾ける。線香花火が淡く光った

【No.-047 膜を生む】
ホットミルクの膜が好きだ。大しておいしくはないけれど舌触りが癖になる。私は今、蜃気楼のような湯気の中をさまよっているのか、白紙のような液体の中をたゆたっているのか、それすらもわからない人生の迷子だ。膜の外側にいるのか内側にいるのか、それは、飲み干してから考えることにした

【No.-048 結縁地】
何かを失った人の前にだけ現れる結縁地があるらしい。微妙な距離感ができてしまった友達、関わりが少なくなったフォロワー、別れた恋人など、失った者同士を繋ぎ合わせる場所だそうだ。観覧車に乗り込むと会いたい人の幻に出会える。いつかまた元通りになるための、言葉を交わすわずかな時間

【No.-049 結い鍵】
彼から結い鍵をもらえなかった。相手の心を開けたり閉めたりできる結い鍵は、本音を伝えたり身の潔白を示すのに効果的だ。きっと、私には言えないやましい気持ちがあるからだろう。内緒で結い鍵を作って彼の心を覗くと、私への愛で溢れていた。目覚めた彼が「恥ずかしかったんだよ」と照れた

【No.-050 百発百中】
百発百中の凄腕スナイパーに暗殺を頼む。今まで百人も闇に葬ってきたらしい。相手は敵対国の最重要人物だ。失敗すれば警戒心が高まり二度と暗殺の機会は訪れないだろう。何度も打ち合わせを重ねる。しかし決行当日、弾が僅かに逸れて未遂に終わってしまう。「悪い。今ので百一発目だったんだ」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652