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140字小説 No.351‐400

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【No.351 少女風鈴】
朝、目覚めると体が透明になっていた。血管も筋肉も見えなくて、まるでガラス細工の風鈴にでもなったみたいだ。窓から入り込む風が私の体を揺らすと、リリン、リリンと音が鳴る。『透明になって誰からも忘れ去られたい』と、そう願ってしまったからだろうか。リリン、リリンと鈴がまた鳴った

【No.352 空のくじら】
海水の雨が降ります。小学校は錆びて朽ち果てます。今日も空ではくじらが泳いでいました。街に迷い込んだくじらは、親の元へと帰れず涙を流しました。そこに傘を差した女の子がやってきて「一緒に探してあげる」と言いました。くじらは女の子を背中に乗せます。1人と1匹の冒険が始まりました

【No.353 まぎれる】
男子三人で廃墟を訪れていた。雨で地面がぬかるんでおり、ズッ、ズッ、ズッと鈍い足音が聞こえてくる。みんな嫌な気配を感じたのか、後ろを振り向くと息を整える者、カメラを構える者、正面を見据える者と三者三様の反応だった。一人が半狂乱になって僕に襲いかかってくる。気づいてしまった

【No.354 青い栞】
図書室の本から栞が切り取られる事件が起きた。犯人は図書委員の女の子だ。「栞なんかあるから飽きるんだよ。最後まで一気にパーっと読んじゃえばいいの」と笑う。読みかけの文庫本に目を落とす。「いつか、忘れてしまう今日だね」と青い栞のミサンガを、くちびるでほどきながら笑っていた

【No.355 そっくりさん】
中学校では『そっくりさん』という噂が流行っていた。女の子の顔写真を用意して「そっくりさん、お越しください」と唱えると、見た目が同じ人が現れるらしい。でも、噂はやっぱり嘘だった。女の子に声をかける。「どうしたの?」「ううん。なんでもない」と、女の子は写真を破り捨てて笑った

【No.356 カフカ】
少し前まで、数十万あれば海外で安楽死の権利が入手できたのに、最近は値上がりしているらしい。それだけ人々の『死の価値観』が上がったということだ。安らかな休息さえ、貧乏人には与えられない。「金さえあればなんでも手に入る」という言葉は、あながち間違いではないのかもしれなかった

【No.357 炭酸電池】
残業も終わって帰宅する。最近は肌荒れが酷いので、アルカリの炭酸電池を湯船に投げ込むと、バチ、バチと音を立てながら炭酸が弾ける。疲れ切った体を電流が刺激した。少し勢いが弱いかなと思って確認してみると、充電用の炭酸電池だった。繰り返し使っているから弱まっているのかもしれない

【No.358 炉心融解】
牛乳をコップに注いで一分半温める。僅かに張る膜を人差し指で救い上げて口の中に入れる。美味しいわけではないけど昔からの癖だった。ココアパウダーをコップの中に落として軽く混ぜ合わせると、白と薄茶のコントラストがくるくると回転して、やがて一つになる。溶けて、融けて、解け合う

【No.359 SDカード】
SDカードがなくなって冷汗が出る。あのカードの中には大事なデータが入っているのに。従事ロボットが僕に迫ってくる。早くカードをロボットに差し込まないと。一歩、一歩、鈍い音を立てながら近付いてくる。ロボットに殺される。カードを。早くSDカードを。ソーシャルディスタンスカードを

【No.360 夜を釣る】
日課の夜釣りへと赴く。これをやらないと1日が始まらない。今日はいつもより暗闇が深くて手元がおぼつかなかった。空に向かって釣竿を振ると、針が月に刺さって引力に体を持っていかれそうになる。負けじと水平線の彼方に沈めて夜を釣り上げる。暗闇が晴れていき、空には太陽が浮かび上がった

【No.361 煙突建築士】
最近は煙突建築士の発生が問題視されている。どこからともなく人の家に現れては勝手に煙突を建てていく。煙突が建てられた家には、サンタクロースがプレゼントを持ってやってくるけど、たまに泥棒や恥ずかしい思いをした人も入ってきてしまう。煙突建築士は今日も、どこかで煙突を建てている

【No.362 透明になる薬】
透明になる薬を飲む。本当に誰も僕のことが見えなくなって楽しくなる。ある日、集合写真から僕だけが消えていた。それだけじゃない。映像、記憶、僕が関わった全ての事象が失わ⠀ て僕の存⠀ が消えな⠀ ように、急いで文字に⠀ て残す。⠀ 葉が届か⠀ くなる。「⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀ ⠀⠀ ⠀ 」

【No.363 深海魚の瞳】
私の瞳には秘密があった。涙の代わりに宝石が流れてくるのだ。生み落とされる宝石は瞳を傷つけて、その度に視力が悪くなっていく。親からは宝石欲しさに暴力を振るわれる。人前で泣かないように。気味悪がられないように。悲しみを奪われないように。人魚になって、海の底に沈みたいと願った

【No.364 ジュゴンの泳ぐ庭】
庭ではジュゴンが泳いでいた。尾ビレが揺らめき、お腹を数回ほど叩く。私はジュゴンのお腹を枕にして眠ると、体中を安心感が包む。彼に吐き出してしまった苦い感情も、私の救いようもない弱さも、今なら全て許される気がした。やり直すんだ。全てを失ったここから。この、ジュゴンの泳ぐ庭で

【No.365 終わりと始まり】
言葉の種を植えた。水の代わりに感情や思い出話を与える。毎日、毎日、言葉にならない気持ちを種に込める。ちょうど一年が経った日、言葉の種が花を咲かせた。それはそれはとても精彩で、鮮明で、繊細で、感傷的な形をしていた。花びらがひとつ落ちる。空白だった心の中に、言葉が生まれた

【No.366 蜘蛛の意図】
『あなたの目の前には無限の可能性が広がっている』そう言われる度に不安になってしまう。私の目の前にある無限の可能性は、さながら蜘蛛の巣のように見えて、私はその巣の中心でもがいてる。希望に満ちていると勘違いしてしまえば、可能性の蜘蛛に喰い殺される。私の、たった一本の道は――

【No.367 光の陰る速度】
ジリリリ。と、地面で蝉が這い蹲っていた。「あ、タンポポだ」意識してないのか、意図してなのか、花を避けた彼女は代わりに蝉を踏み付けた。ジリリリ。という鳴き声が止まる。「秋が過ぎる速さで光は陰るの」彼女の言葉を思い出す。長い夏が終わりに差し掛かり、もうそこまで秋が迫っていた

【No.368 アリア】
コンビニへ行ったとき、彼女が珍しく募金箱に寄付する。その日の夜に彼女が自殺した。どこかの、誰かが、寄付したお金で幸せになるのだろうか。彼女のことを知らない誰かが。彼女を残して幸せになっていく。ある日、部屋から遺書が見つかる。達筆な字で書かれた文字の、読点だけが揺れていた

【No.369 影廊】
クラスの人気者の影から「存在」をトプン、と掬い出す。黒い塊が手のひらに乗っかる。そっと口に含むと、その人が経験してきた苦痛や幸せの味がした。飲み込む度にその人の影が薄くなる。代わりに私は存在感を増していく。みんなに気付いてもらえるように、今日も泥水のような影を飲み込んだ

【No.370 ブラック昼食】
ブラック企業に就職してしまった。食堂のイスに座って同僚のご飯を眺めると、得体の知れない物体が皿の上に乗っかっていた。食堂のメニューは勝手に決められる。同僚が「最近は苦虫や割りばっかり食わされてるよ」と嘆く。上司の失敗やストレスを消化するために、食べたくもないご飯を食べた

【No.371 タイムトラブル】
露天商からアナログ時計を買う。時間を合わせようと針を進めると景色が早送りされていく。試しに針を戻すと景色が戻っていった。観たい番組や雑誌があれば時を進めて、嫌な用事があれば時を戻す。やがて、時間を弄っている内に時計の電池が切れる。時が止まったまま、どこへも行けずにいた

【No.372 花の行く末】
自然が好きな彼に振り向いてもらえるように、花占いで考える。好き、嫌い、好き、嫌い。花びらを摘んでいると「相手の嫌がることはやめましょう」と結果が出た。喜んでもらうために花かんむりを作ってプレゼントする。四つ葉のクローバーを探して三つ葉の上を歩く。きっと、大丈夫なはず

【No.373 ゆびきり】
夫の浮気を知った。酔っ払って帰ってきた夜、あろうことか左手の薬指に私の知らない指輪がはめられていた。問いただしてみると浮気をあっさり認めた。「これから不自由になると思うけど、もう二度と浮気しないって、指切りしてくれる?」夫は慌てて指を立てる。すぐさま私は夫の指切りをした

【No.374 やおよろず殺神事件】
殺神事件が起きる。被害者は右利きの神だ。きっと容疑者は左利きの神だろう。もうすぐ全人類が強制的に左利きとなる。混乱に陥る前に人々の生活様式を変えなければならない。八百万の神は事象を司る。神様の死は、理の消失と同じ意味を持つ。今、この世から『右利き』の概念が消えてしまった

【No.375 不在着心】
『この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。 この心は、現在使われておりません。気持ちを御確認の上、もう一度心を御繋ぎ下さい。この心は、現在使われて――』

【No.376 プールの底に】
プールの授業中、松葉杖の女の子が座っていた。同級生からは「人魚」と笑われる。それでも必ず参加するのは、せめてもの反抗だったのだろう。無口で、ふれたら泡になって消えてしまいそうな白い肌だった。久しぶりに小学校を訪れる。水の抜けたプールの底に、彼女の長い黒髪が見えた気がした

【No.377 盗作(No.001「ああああ」)】
昔、クリアできなかったRPGを起動する。主人公の名前が「ああああ」と適当で苦笑する。ゲームは中盤で止まっていた。せめて、クリアすることができていたら、主人公も報われていたのだろう。世界もお前も救ってやれなくてごめんなと「ああああ」に謝る。データを消して『はじめから』を選んだ

【No.378 有象無ゾウ】
広大な敷地面積を誇るネット動物園を訪れる。お目当は有象無ゾウだ。「人とは違うことをしたい」「新しいことがしたい」そういった名前のない人達が、3分間で作った夢を掲げて鼻を高くする。顔の同じ量産型アイドル。誰にも読まれないと嘆く小説家志望。褒め言葉だけは大きな耳でキャッチした

【No.379 金のツイノベ 銀のツイノベ】
ツイノベを考えるのが面倒になり、思わず書き途中のツイノベを池に捨ててしまった。すると池の中から女神が現れる。「あなたが落としたのは金のツイノベですか? 銀のツイノベですか?」「いえ、銅のツイノベです」「正直者には全部のツイノベを与えましょう」ツイノベのストックが3つ増えた

【No.380 責任点火】
同僚が仕事でやらかした。残業続きで溜まった愚痴を吐き出すと、あろうことか同僚が逆ギレして俺に掴みかかる。罪のつまみを捻ると、体の中からチッ、チッ、チッと音が鳴り響く。「やめろ!」やがてボッと熱がこもると、その途端に上司や部下から俺に非難が集まる。しまった、責任点火だ

【No.381 道具屋】
これからブラック企業に退職届を出しに行く。家を出ようとしたら扉の前に彼女がいた。「いらっしゃい。どれにする?」と両手には『勇気』『適当』『脱力』と書かれた紙が握られている。試しに『勇気』を選ぶと「ここで装備していくかい?」「はい」と答えると彼女が僕の背中を押して笑った

【No.382 そらねこ】
2歳の娘が「ままー。おそらにねこがいるよー」と話す。なんのことかと空を見上げると曇り空が広がっていた。しばらく眺めているとゴロゴロと雷が鳴る。娘が「ごろごろー、ごろごろー、にゃーん」と猫の声真似をした。なるほど、そういうことか。雨が降り出すと「ねこさんないてるね」と呟いた

【No.383 かコイ(ネット動物園②)】
ネット動物園に訪れると、今日は『かコイ』が元気に泳いでいた。一匹の綺麗なメスを見つけると、オスが周りを泳ぎ続けて他のオスを寄せ付けないようにする。エサを集めたり、メスを攻撃しようものならば徹底的に噛み付く。口をパクパクさせる。今日も『かコイ』は、濁った水の中を泳いでいた

【No.384 クチナシの壷】
陶芸教室が終わったあと、友人の中央がクチナシの壷と書かれた作品を割ってしまった。壺の破片が散らばる。その途端、友人の姿が見えなくなった。先生が「かわいそうに。あの子は口を失ってしまったんだよ。だから、1人になったんだ」といつのまにか後ろに立っていた。「この壺って一体……」

【No.385 閃光】
サナトリウムに入院している同級生に会う。窓辺には千羽鶴が飾られていた。高校生の頃「自分の住む街だけが世界中」と言っていた彼女は、今、世界の外にいるのだろうか。彼女の手が頬に触れる。「私のことは、好きにならない方がいいよ」遠くで空が光る。先の見えない暗闇に、火花が走った

【No.386 息を吸うように、息を吐く】
私は呼吸が下手だ。馬鹿だから、息を吸っているのか吐いているのか分からなくなる。冬は口から白い煙が漏れ出して、今は吐いているんだなと理解できる。昔、迷子になった私を見つけた姉から「あんたの吐く白い息が目印なのよ」と言われたことがある。思い出して、息を吸うように、息を吐いた

【No.387 ススメ】
陸上選手になることが夢だった彼女が『止まれ』と書かれた道の上で動けずにいる。交通事故で足が動かなくなってしまったのだ。「よし、行こっか」「ありがとう」車椅子を押しながら私達は次の『止まれ』を目指す。ペンキを携えて、街中の『止まれ』を『進め』に塗り替えていく。進む。進んだ

【No.388 言葉の飼い主】
言葉を飼うことにした。育て方が難しく、扱いを間違えると人を傷付けてしまう。逆に気持ちを込めながら育てると人を幸せにしてくれる。同じ言葉でも誰が飼うかによって姿形が変わるのが面白い。思えば、名前を付けるのを忘れていた。感情が溢れてしばらく悩む。そうだ、この言葉の名前は――

【No.389 ダイニングメッセージ】
台所で息子が倒れていた。床にはメモ書きが置かれている。ダイイングメッセージだ。メモには「ニンジン、たまねぎ、ジャガイモ」と書かれている。そのとき、息子のお腹が鳴り響いた。ハッとして、私は急いでカレーを作る準備を始める。全く、直接言えばいいのに。ダイニングメッセージだった

【No.390 姓名保険】
姓名保険に加入した。旦那の元に嫁いでからは名前を呼ばれることがなくなる。「おい」や「お前」と言われる度に、私の名前を失ってしまったようで悲しくなった。「なんとか君のママ」や「誰だっけ?」と名前を失うと、保険会社から名前を支給される。すると相手が私の名前を呼んでくれるのだ

【No.391 黒泥棒】
黒泥棒が現れた。オセロ、碁石、サッカーボール、チェス、パンダ、シマウマ、ダルメシアン、ホルスタイン。世界中から黒という黒を奪っていくのだ。特に困ることはなく今日も会社に赴く。するといつもは横暴な上司がやけに優しかった。変に思っていると、なるほど。ブラック企業だったのか

【No.392 スマイル】
罰ゲームでハンバーガー屋でスマイルを頼むことになった。運の悪いことに店員さんはいつも愛想の悪い女性だ。「スマイル、テイクアウトで」女性が僕をジロリと睨んだあと、なんと笑顔を見せてくれた。家に帰ってからも、授業を受けてるときも、ずっと、持ち帰った笑顔が冷めることはなかった

【No.393 溝の繭】
記憶のジグソーパズルを拾っては思い出を埋める。完成したと思っても、ひとつだけ空白が残っていた。最後に残ったひとかけらが、たぶん、僕達なのかもしれない。昔のことなんか思い出したくないのに季節は育っていく。長いあいだ見て見ぬふりしてきた、パズルの溝の繭が、羽化しかけていた

【No.394 夜が灯る五分前-アルマ①-】
『夜が灯る五分前になりました。各自、準備を整えて下さい』アナウンスが鳴り響く。夜患いの時間だ。全ての電気供給を遮断して、人口の太陽と月の消費電力を抑える。やがて世界中が強制的に夜となる。望んでもいない夜を患わせるのだ。窓から夜空を眺めると、偽りの星々が世界を照らしていた

【No.395 冷却塔アルマ-アルマ②-】
世界の標準気温は今や、四十度越えが当たり前となってしまった。原因は未だに判明していない。文献が残っている限りでは少なくとも五十年前からだそうだ。死の光を放つ太陽と月から身を守るために、私達の住む街は巨大な防熱シェルターで覆われていて、街の中心には冷却塔アルマが佇んでいた

【No.396 ヨルとカヒリ-アルマ③-】
「ヨル。手を出して」とカヒリが囁く。私は少しだけ逡巡したあと、カヒリの右手を繋ぐ。見えないはずの私の両目に、少しずつ視力が戻っていく。幼なじみのカヒリと手を繋いでいる間だけ、なぜか私は光を取り戻すのだ。真っ暗だった視界のパレットに、風景の絵の具が一滴、一滴と落ちていった

【No.397 水彩の蝶-アルマ④-】
『冷却塔アルマに外の世界へ通じる扉がある』と噂が流れ始めた。この街の生態系は狂って、最近では光の残滓を纏った無数の蝶が空を覆い尽くす。夕景に照らされて様々な色へと変化していく。セルリアンブルー。アリザリンレッド。マゼンタ。画用紙に水彩絵の具を垂らしたように広がっていった

【No.398 炎熱石-アルマ⑤-】
炎熱石採掘場に訪れる。炎熱石を左手でそっと握ると、赤くて淡い光を放つ。ほのかな熱量がカヒリの右手と同じ温度に感じた。夜だけになった世界で炎熱石は貴重な資源だ。不足した自然エネルギーをこの小さな石が補っている。それも今、枯渇まで秒読みとなった。アルマの活動限界が迫っていた

【No.399 魂の終わり-アルマ⑥-】
禁止区域に存在する廃病院の入口を抜けると、右手側には手術台やレントゲン台があり、正面には重たい鉄格子がはめ込まれていた。死の光を浴びた人が最期に行き着く場所だ。大勢の人が亡くなったであろう地に思いを馳せる。もしも、魂がこの世に存在するのなら、ここは魂で溢れているのだろう

【No.400 夜の始まり‐アルマ⑦‐】
部屋を常夜灯にする。私達だけの夜が灯った。目を閉じて、意図して暗闇を作る。次に目を開けたとき、もう光を失っているかもしれない。カヒリがいないかもしれない。でも、それでも。意図して作った暗闇なら、きっと意識して光を生み出せる。私はカヒリの左手を強く握って、一条の光を探した

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652