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140字小説 No.476-480

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【No.476 デモンストレス】
試食するために子どもがつまようじでベーコンを刺すと、おばさんが「端から並べてるんだから、もっと綺麗に取りなさいよ」としゃがれた声で睨む。そうこうしている間にベーコンに焦げ目が付いていく。無垢な子どもから荒んだ大人へ。まるで、グラデーションのように変化していく様と似ていた

【No.477 未練の硬さ】
彼と別れる日、なんてことのない顔をして朝食を作る。猫が鳴く。窓の水滴が流れる。彼が起きた。パスタの湯気が私達の行く末を曇らせていく。どっちのせいとか、なんのためとか、特に理由はなかったけど、茹でる時間の方向性で喧嘩したのは覚えている。アルデンテのような硬さの未練だった

【No.478 サイレンとサイレント】
「サイレンとサイレントってたまにわからなくなるときあるよね」と彼女に聞くと、いつもは肯定してくれるのに今回はきょとんとする。「エレベーターとエスカレーターもわからなくなるし、昔から似たようなものの区別がつかなくなるんだ」「あぁ、だから私が双子の妹の方だって気付かないのね」

【No.479 湯たんぽぽ】
水も火もガスもない山奥で、寒さに凍えそうになっていた。いつからここにいるのか、いつまでここにいるのかわからないまま数年が経つ。自生する湯たんぽぽの綿毛を、容器の中に詰めてやさしく振るとほんのり温かくなってくる。湯たんぽぽが至る場所に咲くころ、永久凍土の山にも春が生まれた

【No.480 気性予防士】
「あの男性は大人しそうに見えて気の荒い方です。感情の移り変わりに注意しましょう」気性予防士に取引先の性格を予報してもらう。どう接したらいいのか。どう注意すればいいのか。人との関わり方を円滑にしてくれる。人間関係が複雑になっていく現代で、気性予防士の需要は高まっていた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652