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140字小説 No.-241‐245

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【No.-241 想い編む】
半年に一度、人類は選んだ一つ以外の言葉を忘れてしまう。その度に僕は恋を、彼女は愛をお互いに教え合う。好きだから一緒にいるのが恋で、嫌いだけど一緒にいたいのが愛だそうだ。言葉足らずで傷付けてしまうかもしれない。でも、思い出せるならきっと僕達は大丈夫なはず。

【No.-242 在りし夏】
匂いの記憶と言うけれど、人が最後まで覚えている五感は嗅覚らしい。蚊取り線香の煙、夕立の香り、手持ち花火の匂い。幾許の年月を一緒に過ごしただろうか。病室で眠る妻の走馬灯が、僕との在りし夏であってほしいと願う。人生最期の日に思い出す妻の記憶が例え、薬品の臭いしかしなくても。

【No.-243 トマトマト】
カロリーを気にする僕のために、小学生の息子が料理を作ってくれた。ご飯をカリフラワーに、鶏肉ではなく大豆ミートを使ったオムライスは格別においしい。お皿まではみ出した『けんこうになりますように』という無邪気な願いが沁みる。まぁ、ケチャップの量が多いのは見なかったことにして。

【No.-244 摩天楼エレベーター】
最近はビルの育つ速度が早い。至る場所で生えてくるため、解体士の数が足りずに放置されることが多かった。立地が良ければそのまま利用できるけど、日照権や航空法など問題の方が山積みである。ただ何十年も昔に生えたビルは、地球と宇宙を繋ぐ超高層建築物としてその成長を見守られていた。

【No.-245 サマーレコード】
小学校の自由研究で『夏を壊そう』をテーマに、僕はペットボトルロケットを作った。大人になった今でも、病院沿いの砂浜に行くと思い出す。空に飛ばして、太陽を割って。届くはずなんてないのに。子どもとはいえ本気だった。彼の余命である夏を壊せば、友達を助けられると思っていたんだよ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652