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感傷140字小説まとめ①

【No.007 夕陽】
夕陽で滲む街を歩いていると、一年前の事を否が応でも思い出してしまう。あの日、彼は交通事故にあって死んでしまった。陽の光で視界を奪われた運転手の車が、歩いている彼の姿を捉えられず衝突した。光が人を救う事があるのと等しく、光が人を殺してしまう事だって、充分にあるのだ

【No.008 落花生】
落花生という響きが好きだった。漢字を分解してみると、その言葉の綺麗さに気付く。落ちる。花。生きる。生命の尊さを感じた。飛び降り自殺を図った友人は醜い姿になってしまったけれど。だけど、私は生きている。彼女の分まで、私は生きようと思った。落ちる。花。それでも、生きる

【No.011 翳りゆく部屋】
私が幼い頃、母が警察に連行された。それと同時に、私も知らない人の家に連れて行かれて、なぜかその家の人は泣いたり、喜んだりしていた。それからはずっとその家で暮らしている。今でもたまに、私と似ていない母の顔を思い出す。あの時、警察が来た意味を、私はまだ聞けずにいた

【No.013 夜行観覧車】
夜に浮かぶ観覧車が綺麗で、私は思わず足を止めた。網目状に広がる鉄格子がまるで蜘蛛の巣のように思え、私はこの美しい光景に絡め取られた蝶にも似ていた。そういえば彼の好きだった曲に、観覧車をイメージしたものがある。今にして思えば、あれは失恋の曲だったのかもしれない

【No.015 にじいろパレット】
私には幼い頃から、落書きを実体化させる不思議な力があった。娘の為に沢山の絵を描いていたある日、娘も私と同じように落書きを実体化させた。あぁ、やはり私の子だと愛おしく思い、娘を強く抱きしめる。涙がポロポロと落ちた。触れた先から娘が滲んでいき、やがて一枚の絵に戻った

【No.017 他人事】
SNSにアンケート機能が実装された。二択の内、どちらか一つを回答し、パーセンテージを割り出すのだ。この機能を使って、私は自殺した方が良いのか、生きていた方が良いのかを訪ねてみた。知人に、友人に、他人に。考えもなしに結果だけが送られる。でも、これが事実だ。さよなら

【No.019 万華鏡】
部屋の掃除をしていたら、古い万華鏡が出てきた。遠い昔、彼女と行った観光名所で買った代物である。そっと覗いて、静かに回す。景色がゆっくりと変わっていく。その様子を、カラカラと音を立てて揺れる、風車の写真を撮っていた彼女の姿と重ねる。季節はもう、冬になろうとしていた

【No.021 幸福許容量】
世界全体の幸福許容量は決まっているらしい。命が生まれたり、亡くなったり、幸せになったり、不幸になったり、泣いたり、笑ったり。恋をしたり、失ったり。そうやって世界はバランスを取っている。私は今、不幸だ。誰が幸せになったのだろう。そっと、まだ知らぬ誰かの幸せを願った

【No.022 つばき】
別れた彼女が好きだった、赤い花が咲いていた。元々、心の弱い部分があったのだろう。別れた途端に、SNSで事実無根の悪口を並べ立てられたときには思わず苦笑した。ふと、赤い花が至る所で咲いていることに気付く。そうだ。君の好きな花は、どこにでも咲いているような花だったんだよ

【No.023 無線通心】
「お掛けになった心は、現在、使われておりません。相手の心を御確認の上、もう一度、心を御繋ぎ下さい。繰り返します。お掛けになった心は、現在、使われておりません。相手の心を御確認の上、もう一度、心を御繋ぎ下さい。繰り返します。お掛けになった心は、現在――」

【No.025 未来手帳】
新しい手帳を買った。それだけで新しい自分になれる気がする。これからの予定と共に、私は手帳に「この日にあの人と何々がしたい」と願望も書き込むのだ。友人の誕生日や里帰りする日。沢山の予定を書き込んだ。けれど、あれから十年が経った今でも、あの人の命日は書き込めずにいた

【No.029 炎の街】
あなたは元気ですか? そちらは晴れていますか? 私は元気です。空からは今日も火の粉が降りかかります。大切な写真も、交換日記も、渡せなかった手紙も、全部燃えて消えてしまいました。私の街には、ガーネットで作られた避炎針があります。今日もこの街は、炎に包まれています

【No.031 タイムレコード】
留守番電話に録音されていた彼の声を聞く。か細くて、少し震えているあなたの声。もう携帯でしか聞けなかった。繰り返し、繰り返し聞いて。あなたの声、忘れてしまった。『「もしもし。今日は君に大切な話があるんだ。僕さ、本当は君のこと」一件の、メッセージを、終了、します』

【No.034 春咲センチメンタル】
染井吉野がライトに照らされて、光を纏っていた。根元の砂を掘り、彼から貰った結婚指輪を埋める。「狂ったように咲いてるけど いずれは散りゆく運命です」と、誰かの曲にあった気がする。桜の花びらが地面を彩って、さざ波のように揺らいだ。さよなら、私の、大切になれなかった人

【No.039 レイニー レイニー】
僕が子どもだった頃、雨の日にだけ家の中に現れる女の子がいた。一緒に絵を描いたり、歌を歌ったり。話をしたり。だから僕は雨の日が好きだった。「もうすぐ雨が止むから、そしたらさよならね」。それが女の子の最後の言葉だった。大人になった今でも、あの女の子とは会えずにいた

【No.041 届かない季節】
『拝啓、××様。お久しぶりです。元気ですか? あれから十年が経ちますね。僕は結婚をして、子どもが産まれました。君はまだあの街にいますか? ごめんなさい。どうか、僕以外の人と幸せになってください』。なんて、君へ手紙を出せないまま、八十円では届かない季節になっていた

【No.043 記憶の粒】
私は人々の思い出をこんぺいとうに変えて、それを食べて生きています。赤や黄色。沢山の色のこんぺいとうが詰め込まれた瓶は、光に照らされて虹色の影を映し出します。口に含むと、味と共に思い出が頭に流れ込みます。私は、人々の思い出を食べています。私には思い出が作れないので

【No.048 夜明けの逃避】
夜明けの商店街を歩く。ふと、友人の「理想ばかりでは生きていけないわよ」という言葉を思い出し、心の中で「現実だらけだと死んでしまうわよ」と呟いた。店のシャッターが開いてく。なぜか店内を見てはいけない気がして、それはあの時、現実から逃げ出した私の後ろめたさと似ていた

【No.050 アクアリウムの人魚】
とある水族館では、人魚が水槽の中を泳いでいます。「私も昔は人間だったのよ。声を出して泣かないように。好きな人の所へ行けないように。私は人魚になろうと思ったの」。そう言って笑う人魚は、今日も水槽の中で歌います。朝も夜も。明日も。百年後も。一人でずっと、一人でそっと

【No.052 夜のコール】
亡くなった人に繋がる電話番号があるらしい。大切だと思う人の声が聞こえると言うのだ。馬鹿げている話だけど、私は馬鹿だから試してみる。三回、コール音が響いた。繋がる。「はい」。誰の声だろうか。「久しぶり」。あぁ。当時、私が好きだった人だ。そっか。君、死んじゃったんだ

【No.053 擦り切れた言葉】
切った指から言葉が溢れていきます。痛いでしょうか。傷は残るでしょうか。溢れた言葉が指を伝っていきます。逢いたいでしょうか。傷は塞がるでしょうか。伝った言葉が足下に落ちていきます。相対でしょうか。傷は醜いでしょうか。落ちた言葉が地面に染みていきます。傷は。傷は、

【No.055 レイニーソング】
寝苦しい夜、窓を開けると心地良い風が流れ込んできた。遠くで鳴る踏切の音も、木々の擦れる音も、隣の家の女の子が歌う「る、る、る」というメロディーのない歌声も、いつか消えてしまうのだろうか。空を眺めると月が朧げに揺れている。秋はもうじき、終わりを向かえようとしていた

【No.058 鈍色、ゴミクズ、夢の跡】
飼い猫がウイスキーの入ったグラスを倒して、液体がトプトプと零れる。元々そういう色だったのか、煙草の灰で汚れてしまったのか、絨毯は鈍色になっていた。床に落ちていた糸クズをゴミ箱に入れる。書き殴られた絵が目に入った。画家になりたい。という君の夢を思い出してしまった

【No.059 笑顔】
彼女から別れ話を切り出された。言葉の意味が理解できなくてしばらく呆然としてしまう。あんなに楽しそうに笑っていたのに。あんなに笑顔が素敵だったのに。別れたい理由を彼女にたずねてみる。彼女が微笑む。「あなたと付き合っていたらね、私、作り笑いが上手になっちゃったんだ」

【No.064 あなたのいない街】
壁に太陽の光が反射していた。右手をゆっくりと壁に当てる。空中にさまよった左手をあなたの右手に繋ぐ。「この街でも散歩してみようか」「うん」あなたに惹かれて、あなたの右手に引かれて、私は立ち上がる。錆びて重くなった扉をあなたの右手が開けて、私の左手が扉の鍵を閉めた

【No.065 花の祈り】
妻は半年前から病院に入院していた。いわゆる植物状態というやつだ。「お母さんは今、枯れ木なんだよ」「かれき?」それ以来、娘は「かれきにはなをーさかせましょー」とやたら繰り返す。「かれきにはなをーさかせましょー」 娘の声が、妻に再び花を咲かす養分となる事を、私は祈った

【No.070 れいにー れいにー】
雨靴を履いた女の子が「る、る、る」と歌う。傘も差さずに「る、る、る」と歌う。一瞬のことだ。目の前で車に轢かれる。ウイスキーと煙草に興じる生活保護の女を思い出す。「命は平等じゃないんだって」と笑っていた。「命は不平等なんだって。だから私は生きてんの」と、笑っていた

【No.072 金魚屋】
古書店の裏通りにいる、金魚屋さんが好きだった。ライラックの香り。漁り火の光。セルリアンブルーの髪飾り。淡い初恋だったのかもしれない。十年経った今でも、何度か裏通りを訪れる。びいどろ風鈴と絵羽模様の猫だけが笑っていた。金魚屋さん。あなたはどこかで元気にしていますか

【No.073 転がる空き缶】
電車の中で空き缶が転がる。カラカラと音を立てる光景が騒々しくて、みんながこっちにはくるなと邪険な目を向ける。誰に拾われるでもなく。誰か捨ててくれるでもなく。気付いてと言わんばかりにカラカラと音を立てて転がり回る。まるで私みたいだなと思い、空き缶をそっと拾い上げた

【No.075 記憶行き】
二十年前、私が住んでいた街に電車で向かう。特に用事はなく、なんとなく行ってみたいと思ったからだ。乗車してきた人に目を向けると、大切だった人に似ていて驚いた。現在から過去へ電車でタイムスリップした気分になる。『電車は 記憶行きです』なんて。そんな曲もあった気がした

【No.078 少女疾走】
月の明かりを頼りに、暗がりを歩く。あなたの少し後ろ側。伸ばした手が彷徨っては、ポケットの中の携帯を握り締める。たまに振り返っては、私がいることに安心する表情が嫌いだった。子どもじゃないのよ。もう、子どもじゃないのよ。なんて思いながら、私は夜道で泣きじゃくっていた

【No.079 おばあちゃん】
祖母の家にお邪魔した。何年ぶりだろうか。私の好きな優しい笑顔。私の好きなお菓子。私の好きなテレビ番組。私の好きなお味噌汁の味。 こんなにも私の好みを覚えてくれているのに。「しかし、初めて会った子なのに懐かしい感じがするねぇ」なんて。どうして私のこと忘れちゃったの

【No.084 春の風】
二年前のことだ。小雨が降る中、僕と彼女は傘を差しながら夜桜を眺めていた。なんとなく別れの予感はあったのかもしれない。言葉は交わさず、ただ散りゆく桜の軌道を追いかける。あの日と同じく小雨が降る今日、適当に傘を取り出して頭上へ広げる。桜の花びらが数枚、地面へと落ちた

【No.087 エウロパの双子】
「どっかの国ではさ、男女で生まれた双子は前世で結ばれなかった恋人同士で、『来世は必ず一緒になりましょう』という祈りを込めて、双子で生まれてくるんだって。だから擬似的な結婚式を挙げるんだってさ」と双子の妹が笑う。「いつか私達もその国に行ってみたいね」と、泣いていた

【No.089 公衆電波】
私の住む街に仲の良い女友達が遊びにきた。「まだ公衆電話があるよ」「田舎はどこにでもあるって」と。彼女が公衆電話から私の携帯に電話をかける。「私の声は届いていますか?」なんておどけて笑って。「私の思いは届いていますか?」なんて、おどけて打ち明けてしまえたら良かった

【No.090 嘘と病熱】
私の背中には、嘘をつくと大きくなる羽が生えていた。あなたの事が好きです。大きくなる。みんな幸せならいいのに。大きくなる。歩道を青で渡った。大きくなる。会社を風邪で休んだ。大きくなる。こんな嘘しかつけない私は、消えて失ってしまいたいと思った。羽は大きくならなかった

【No.092 笹舟】
公園のベンチに笹舟が置かれていた。そういえば、別れた彼女は笹舟を作るのが上手だった。笹舟を作っては噴水式の蛇口から水を出して、少し窪んだ水皿の中でどこにも行けない笹舟を揺らす。あの日の記憶も君との思い出も、笹舟と同じでどこにも流れないまま、僕も公園で揺らいでいた

【No.094 ひとりぼっち惑星】
『私の声は届いていますか?』で始まる小説があった気がする。電車の中ではみんな携帯に夢中になって。スクランブル交差点ではみんな忙しなく歩いて。私のことなんて見向きもしない。この惑星でひとりぼっちになった気分だ。存在をなぞるように、呟く。「私の声は届いていますか?」

【No.095 迷子の言葉】
「迷子の言葉を探しています」と張り紙が貼られていた。特徴は優しくて、尖っていて、ふんわりとして、冷たくて、綺麗で、触れられなくて、幸せで、哀しくて。ずっと側にいたはずなのに、気付くと消えていたそうだ。なぜだか僕はこの言葉を昔、心のどこかで知っているような気がした

【No.096 落花生】
「白詰草って、すごく綺麗な花だと思ったの。だって白が詰まってる草だよ? すごくまっしろで雪みたいなんだろうなって。そしたらクローバーのことだって知って、なんだかがっかりしちゃった。え、落花生? 落花生くらいは知ってるよ。落ちる、花、生きる。言葉は綺麗なのになぁ」

【No.097 少女海月】
白くて大きな満月だった。海に潜りそうなほどの近さで。「海に月が沈んだら、クラゲになってふよふよ泳ぐんだよ」と、彼女がけらけら笑っていた。透き通るような肌の白さは、どこか月の光にも似ていて。「私も海に沈んで、クラゲになって、行方不明になりたいなぁ」と。笑っていた

【No.098 君の名前】
去年の手帳を参照しながら、新しい手帳に友人達の誕生日を書き込む。ふと、彼女だった女の子の名前を見つけた。××さんと他人行儀に。昔は僕しか呼ばない特別な名前があった気がする。大切な人だったのに、忘れたくない人だったのに、いつしか、君の名前を思い出せなくなっていた

【No.100 夏の日】
「もうすぐ夏が終わりを告げます」とニュースが流れる。昔、彼女が「憂鬱に名前を付けて、それを水風船に書いて割りたいね」と言っていたことを思い出す。来年になったら。再来年になったら。そう言っている内に夏が終わってしまう。「深刻な寒波が続き、日本の四季は春秋冬に――」

【No.106 飴細工】
飴細工で作られた金魚が、時間を経てどんどろりんと溶けていきます。ポタリ、ポタリと流れる赤や橙の色が混ざり合います。私は飴を掬って、口の中に含みます。まるで金魚が肺で泳いでいるかのように、心臓はズクズクと高鳴ります。涙が溢れてきます。飴は少しだけ、苦い味がしました

【No.115 少女不透明】
朝、起きたらベッドの上で死んでいたいと思った。でも死んでしまったらそれを確認できないから、せめて透明になっていればいいなと思った。そうしたらみんなに忘れられて、みんなに気がつかれなくて、みんなに取り残されるのだろう。そう考えるとき、心が透明に濁っていくのを感じた

【No.117 花の髪留め】
彼女が花の髪留めを羨ましそうに眺めていた。「プレゼントしてあげるよ」と言ったら、彼女は「私には似合わないから」と拒む。黒くて、とても長い髪の毛が揺れていた。遠い昔の話だ。入院している彼女の元を訪れる。病床に伏せる君には似合わぬ、花の髪留めがバッグの中で泣いていた

【No.125 万華鏡】
彼女と専門店で万華鏡を作った。「見て。この一瞬がとても綺麗なの」と、彼女は万華鏡を回さずに一つの光景ばかり見ていた。目の前では夕日が夜に沈んでいき、橙から群青へ景色が変わっていく。すぐそばに綺麗な光があるのに。彼女は見せかけの美しさを、ただ、ただ、覗き込んでいた

【No.149 代々木公園】
冬になると、彼女と訪れた公園を思い出す。水の流れない噴水の絵を描いていた左手には、いくつもの吐きダコが滲んでいた。そっと写真を撮ったことに気づいた彼女は、なぜか哀しそうに見えた。今頃、君は、あの公園で泣いていて。今頃、渡り鳥も、あの公園で鳴いているのかもしれない

【No.156 夜だけの国(百景 6番)】
彼が眠りについてから何十年と経ちました。時間まで眠ってしまったのか、青年の姿から歳を取ることはありませんでした。今日も私は一人で眠りにまどろみます。夢の中の彼は私と同じ老人の姿をしていて、「だいぶ遅れた青春だ」とデートをしていました。夢だとは承知です。夢だとは、

【No.163 水槽都市(百景 13番)】
人里から離れた山の中に、その集落はひっそりと佇んでいた。ダムを建設するために水の底へと沈んだ集落を、水面のレンズ越しに眺める。「この村と一緒に生きていくんだ」と言って命を捧げた彼の悲痛な声が、放流の中から聞こえた気がした。私の叶わない恋心も、水の底に沈んだのだ

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652