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140字小説 No.496-500

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【No.496 未来未明】
今年の納め箱は小さいのを選んだ。若い頃は大きな箱を買っては遊び納め、食べ納め、歌い納め、描き納め。とにかく箱に納めてきたのに。年々、納めたものを取り出す機会が少なくなる。でも、そういうものなんだろう。いつか納めた「夢」を自分の代わりに、誰かが受け継いでくれることを願った

【No.497 信仰崩壊】
新年を迎えてから初めて外に出るときの気分は、成績表を開く瞬間にも似ていた。おみくじを引いて、お賽銭を入れて、また今年を祈る。祈るだけでどうにかなるのならば、信仰はもっと人に根付いていたのだろう。去年のカレンダーを捲っていないことに気付いた今日、私はメモ帳を買うのをやめた

【No.498 銀行強盗】
銀行強盗に遭遇した。犯人はバッグを取り出して「定礎を詰めろ」と要求する。仲間達が次々にカウンター、電光掲示板、パソコン、果ては建物そのものを素早く解体していく。借金返済の踏み倒し、ただの愉快犯、外装マニア。目的は色々だ。銀行強盗が去ったあと、そこには更地が広がっていた

【No.499 美化委員】
クラス内のいじめも、先生の不登校も、美化委員が全てを美しくしていく。「喧嘩するのは心と心がぶつかったからです。本音を言い合える仲の良い関係です。先生も先生を辞めて本当にやりたいことを見つけました」間違ったことも、歪んだことも、美化委員によって、みんなの認識が正されていく

【No.500 フォルトゥナ】
「今日の天気は晴れのち砂でしょう」とテレビが伝える。宙では隕石が粉々になって、砂に変わっては僕達の住む街を埋め尽くす。夢も、手紙も、記憶も、君も、砂は全てを飲み込んでやがて風化してしまう。いつか、数千年後の誰かが、化石になった僕達を掘り返すとき、どうか、思い出してほしい

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652