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140字小説 No.-081‐085

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【No.-081 説明書の説明書】
最近のゲームや玩具は遊び方が複雑になってきた。面白さが増した分、操作方法を記した説明書も分厚くなっていく。一目読んだだけでは理解できないため、説明書の説明書が発行されて、それでも難しいから説明書の説明書の説明書が発行される。やがて説明書の説明書の説明書の説明書の説明――

【No.-082 影繋ぎ】
遊歩道に伸びる影を見ると、彼女と付き合っていた夏をいつも思い出す。人前で手を繋ぐのがもどかしかった僕達は、夕陽で生まれた手のひらの影を重ねて、間接的に手を繋いでいた。今にして思うとそっちの方が恥ずかしい気もする。夜になれば、否が応でも離ればなれになってしまう関係だった。

【No.-083 スピカ】
一生に一冊、透明の本を持って命が芽吹く。自分自身では読めないけど、亡くなった後に他の人だけが読めるようになるらしい。ページ数が少なくても、文字数が足りなくても、その人にとっては大切な物語だ。今年も命が積み重なる。確証はない。でも、僕の人生の一行目が書き込まれた気がした。

【No.-084 モノローグ(藍煩い①)】
一年に一度、二十四人に罹る藍煩いは、寿命を僅か一日にしてしまう。発症すると瞳が藍色に染まることから名付けられている。原因も、意味も、何もかもわかっていない。だけど、救いがあると願って。午後二時、日記に残す。これは、僕を含めた二十四人の生き方と、二十四人の死に様の物語だ。

【No.-085 牛乳もち(藍煩い②)】
おやつの時間、娘と一緒に牛乳もちを作ったことを思い出した。片栗粉と砂糖、牛乳を入れて混ぜて、水の張ったボウルに落とす。固まってきたら黒ごま、きな粉をかけて完成だ。午後三時、娘と作ったおやつを、今度は孫と並んで作る。好奇心旺盛なのか、私の藍色の瞳を孫が愛おしそうに撫でた。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652