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140字小説 No.796‐800

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【No.796 ネクローシス】
毎日が誕生日ならいいのになんて冗談を言ったら、友人が毎日お祝いしてくれるようになった。嬉しいけれど私の肌は、視界は、記憶力は次第に老いていく。毎日おいしい思いができる代わりに、日付が変われば歳を取る。たったの二ヶ月で八十歳になった今、死の淵で自分の浅ましさを思い返した。

【No.797 フレンドパーク】
ダーツゲームに挑戦する。景品のパジェロに目が眩んだけど、その国ではタワシが最高級品らしい。観客も「タ・ワ・シ!」と盛り上がる。僕の投げた矢は見事タワシ一個のパネルに刺さった。「今やタワシはパジェロを売っても百個しか買えないですからね」じゃあパジェロでよかったじゃないか。

【No.798 愛妻弁当】
愛妻弁当を食べるのもこれで最後になる。会社を辞める日、妻は泣きながらお弁当を作ってくれた。フタを開けると僕の好きなものが詰められている。不揃いな形のウインナー、脂身の少ないお肉、半熟の目玉焼き。どれも見栄えは悪いけど、僕のために身を削ってくれる。やっぱり妻の味は最高だ。

【No.799 蝶の眠る】
夜に安らぎを求めている人は、朝に不安を抱いていないからだ。目を覚ませば必ず明日になっているという救いを、持てない人だって少なからず存在する。目を閉じたら二度と起き上がれない気がして。それでも、歓楽街へ繰り出す彼女が起きる夜を、それでも、どこかで綺麗だと思ってしまうのだ。

【No.800 レプリカント】
『最高に泣ける映画』『あなたは恐怖する』第三者が気持ちを代弁し続けた末に、自分で自分の感情を決められる人は少数になった。今では感情仕様書が手放せなくなる。表現に迷わなくなるのはきっと素晴らしいことだ。それでも、なぜか、心の澱から溢れてくる感情を何と呼べばいいのだろうか。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652