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140字小説 No.591‐595

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【No.591 ネットサーフィン】
「さぁ、新種目『ネットサーフィン』日本代表の挑戦。布団に寝転がりながらポテチとコーラを味わった。べたべたの手でスマホを操作する高難易度の技を繰り出す。おーっと日本代表、苦い顔になる! どうやらワンクリック詐欺に引っかかってしまったようです。これは大幅な減点になるでしょう」

【No.592 最後の夏休み】
僕の通っている中学校が廃校になる。夏休みを前にして僕は都会の中学校に編入することになった。都会はお金がいっぱいあるから、季節税なんてたんまりと払えるらしい。この村は『夏』を購入することができなかった。やがて冬しか訪れない村は雪の中に埋もれていくだろう。最後の夏休みだった

【No.593 熱を泳ぐ】
熱帯魚が部屋の中を泳ぐ。いつのまにか外から紛れ込んでしまったみたいだ。最近は熱帯魚の数が増えて暑苦しい日々が続く。私の体を横切るたびに熱帯魚から熱い風が生まれる。後悔のこと、きみのこと、将来のこと、眠れない夜が積み重なった。息ができないのを、全部。熱、熱、熱のせいにして

【No.594 正しさの原液】
カルピスと水の境界線について私達は考えていた。水泳競技で結果を残せないと、両親は私のことを見向きもしない。「薄めちゃえばいいんだよ、濃いだけの思い出なんて」と、そういって友人は高校のプールにカルピスの原液を流し込んでいく。笑い合いながら、私達の正しさが曖昧になっていった

【No.595 透明な膜の】
ショーウィンドウに青空と入道雲が映り込んでいた。麦わら帽子を被った顔のないマネキンと無愛想な私が並ぶ。青信号を待っている間に夏が終わってしまう気がして焦っていた。不安も、泥濘も、平穏すらも叩き割ることができたなら。透明な膜の外側にいるのか、内側にいるのか、それはまだ――

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652