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140字小説 No.046-050

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【No.046 アリの大群】
アリの大群を見つけた。踏まないように慎重に歩く。昔は沢山のアリを踏み潰したものである。子どもというのは残酷だ。しかし今、誤ってアリを踏んでしまっても気にはならないだろう。空を仰ぐ。巨大な足が僕に迫って――「ママー。人間踏んじゃった」「いちいち気にしなくていいの」

【No.047 本棚】
私が14歳の時に買って貰った本棚は、沢山の本を詰め込んで、私が15歳の時に殺してしまった。私が16歳の時からバイトしたお金で、沢山の本を詰め込んでも大丈夫なように、私が17歳の時に自分で本棚を買った。私が84歳の時になったとしても、あの本棚を思い出していられたら

【No.048 夜明けの逃避】
夜明けの商店街を歩く。ふと、友人の「理想ばかりでは生きていけないわよ」という言葉を思い出し、心の中で「現実だらけだと死んでしまうわよ」と呟いた。店のシャッターが開いてく。なぜか店内を見てはいけない気がして、それはあの時、現実から逃げ出した私の後ろめたさと似ていた

【No.049 軽いタマシイ】
風の強い日に傘を差すのが苦手だ。必死に傘にしがみついていると、私の軽い魂までもが吹き飛びそうで不安になる。だから私は雨が降っていても傘を差さない。いや、差せないのだ。軽い魂でも、流されるくらいなら濡れた方が楽だ。惨めだと笑われてもいい。私の軽い魂が守られるのなら

【No.050 アクアリウムの人魚】
とある水族館では、人魚が水槽の中を泳いでいます。「私も昔は人間だったのよ。声を出して泣かないように。好きな人の所へ行けないように。私は人魚になろうと思ったの」。そう言って笑う人魚は、今日も水槽の中で歌います。朝も夜も。明日も。百年後も。一人でずっと、一人でそっと

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652