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生き物140字小説まとめ②

【No.512 こねこねこの素】
ストレスが溜まったので「こねこねこの素」を買った。ボウルの中に粉を入れて水を流し込む。手でこねていると生地が「にょん、にょん」と鳴き声を上げては子猫の形に変わっていく。こねて、鳴いて。間の抜けた声ともちっとした柔らかさで、完全な子猫の姿になったときにはとても癒されていた

【No.525 体槽】
魚は人間のおなかや腕で飼うのが当たり前の時代、私は左目にネオンテトラを飼うことにした。魚を目で泳がせるのは非常識な行為だ。「観賞用の魚を人目に晒すのがはしたない」普通の人の、普通の感情の、普通の倫理観である。誰にも見つからないように、私はネオンテトラを眼帯でそっと隠した

【No.526 夢遊猫】
風邪のときに見る、夢の中にだけ現れる猫がいるらしい。子どもがその猫と遊んだという多くの報告があった。熱でうずくまる体が、涙で濡れた頬にひげが、ごろごろ鳴る喉が猫そっくりになる。ふいに咳き込むと、小さな毛玉が吐かれる。繭がもぞもぞと蠢き、やがて、未知の生命体が目を覗かせた

【No.541 マトリョーシカ】
そろそろシカの角が生え変わる時期だ。飼育しているシカ太郎を眺める。角がぽろっと落ちると、少しだけ小さな角がまだ生えていた。角が落ちる。さらに小さな角が生えていた。角が落ちる。さらにさらに小さな角が生えていた。何度か繰り返していく内に、やがて、極小の角が残った。メスだった

【No.556 マネキ猫】
野良猫が物珍しそうに前足でマネキ猫を転がす。器の中から鈴の音が鳴ると、野良猫は急にコテン、と固まって動かなくなってしまった。驚いて祖父の元へ駆け寄ると、歯磨きをしたままの姿で硬直していた。祖父の体から鈴の音が鳴る。捨てようとする右手が動かせない。マネキ猫が笑った気がした

【No.557 ネットクリッター】
インターネットの中にだけ存在する生き物がいた。タニンノフコウミツバチやジブンガタアリ、オキモチヒョウなどその生態は多種多様に渡る。天候は常にあらしだった。青い鳥が運んできた文章や写真、イラストを奪っては食欲の代わりに承認欲求を満たす。弱い者は誰かの養分になるしかなかった

【No.561 キャッツレス】
こんなご時世、いまやキャッツレスが当たり前となった。接触防止のために猫を被る行為、猫の手を借りる行為、猫に小判や鰹節を与える行為、猫に経を唱える行為、猫に好奇心を持つ行為、バターを塗ったトーストを猫の背中にくくり付ける行為、猫の首に鈴を付ける行為、猫なで声が禁止になった

【No.568 猫吸い】
若者の間では「猫を吸う」という行為が流行っているらしい。ベテラン刑事の俺の勘が事件性を訴えていた。おそらく違法ドラッグの隠語だろう。ある日、娘が電話越しに「友人に頼んで猫を吸わせてもらったんだよね」と話しているのを聞いてしまう。まさか身内に喫煙者がいたなんてと涙を流した

【No.593 熱を泳ぐ】
熱帯魚が部屋の中を泳ぐ。いつのまにか外から紛れ込んでしまったみたいだ。最近は熱帯魚の数が増えて暑苦しい日々が続く。私の体を横切るたびに熱帯魚から熱い風が生まれる。後悔のこと、きみのこと、将来のこと、眠れない夜が積み重なった。息ができないのを、全部。熱、熱、熱のせいにして

【No.596 竜空城】
山で子ども達にいじめられていたカメを助ける。カメはお礼に竜空城に連れてってくれるそうだ。カメに乗って空を浮かんでいると、雲の隙間から巨大クラゲやチンアナゴが顔を覗かせる。竜空城ではわた雨や雪で作ったかき氷、パチパチと弾ける甘い雲など、それはもう豪華絢爛なおもてなしだった

【No.607 人間離れ】
スポーツ推薦を受けるために、医者と相談してどんな過酷なことにも耐える。危険だと言われても、いつしか厳しい練習を乗り越えて人間離れした力を手に入れた。ダチョウの目、チーターの足、ゴリラの手、アフリカゾウの体を移植した僕は誰にも負けることはないだろう。スポーツ新時代の到来だ

【No.614 チョココロネコ】
今年もチョココロネコのひっこしの時期が始まりました。コロネの中から「ぶにゃあ!」とチョコまみれのネコが飛び出すと、新しい住まいを探しに二足歩行でパン屋へ向かいます。よりおいしく、よりやわらかく、よりクルクルとしたチョココロネを求めて、チョココロネコは今日も旅を続けました

【No.615 死の部屋】
見知らぬ部屋に入ると毒ガスが撒かれていた。意識が朦朧とする中、ふらふらとさまよいながら出口を目指す。迫りくる壁に押し潰されそうになったり、無機質な巨大豚の口から謎の煙が吐かれる。力が抜けて壁が迫った。体がぺしゃんこに潰れる。血が飛び散った。意識が——「蚊を倒せた!」

【No.618 続・間違い探し】
『この中にーつだけ間違いがあります』猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫猫

【No.619 鶴達の恩返し】
世話好きのおじいさんの元に、助けた鶴が恩返しに来ました。それに続いて助けた亀、犬、猫、豚、狐も恩返しにやって来ます。「これは大変。はたを織る代わりに整列させましょう」と、鶴の一声で動物達は綺麗に並びます。それぞれの恩返ししたい内容を聞いて、順番が来たら高らかに鳴きました

【No.628 ヤマタノヤマタノオロチ】
村民を苦しめるヤマタノオロチを退治することになった。お酒を飲ませて酔っ払ったのを見計らうと、右手に持った十拳剣で切り刻む。終わったと思った瞬間、八つ裂きとなった八本の首があっという間に再生していく。一本の首が八つに分かれて、ロクジュウヨンマタノオロチとなって立ち塞がった

【No.629 命の授業】
小学校で命の授業が始まった。クラスメイト三十一人それぞれに役割が与えられて、飼育係がお世話を。清掃係が排泄物の処理を。保健係が体調管理や怪我の処置を。そして命の重さを知るために、給食係がそれを調理してみんなに配った。クラスメイト三十人で両手と声を合わせる。「いただきます」

【No.631 流ペン群】
今日は年に一度の流ペン群が見れる日だ。宇宙を泳ぐペンギン達が次々に地球へと降り注ぐ。元々、ペンギン達は宇宙に住んでいたそうだ。大気圏を抜けて無事に地球へと降り立ったペンギン達は、初めて泳ぐ海の心地良さを知って地球で暮らす者、プライドを守って宇宙で生きる者と二分化された

【No.633 猫缶】
娘にねだられて猫缶を買った。わくわくしながら缶を開けると、毛並みのいい黒猫がポンっと飛び出して大きくなる。今では猫は安価に、簡単に手に入る分、命の尊さは小さくなったのかもしれない。気に入らない猫だったら捨てればいい。また新しい缶を買えばいい。保存の効く命になってしまった

【No.634 金魚の恩返し】
僕の家は貧乏だったけど、お祭りで金魚すくいだけは唯一お金を出してくれた。大事に、大事に金魚を育てた。肺の病気になった母の看護をしていると、空を泳ぐ数匹の金魚が現れる。呆然とする僕に「あのときすくっていただいた金魚です」と話す。母の口に金魚達がするりと入り込むと肺が治った

【No.641 夢羊飼育員】
夢羊飼育員になってから一年が経つ。ある日、子どもが寝ぼけて「羊が二万匹」と数え間違えたときはすごく焦った。僕の働く牧場だけでは足りなく、他の夢羊宅配業者と連携して、なんとか夢羊を二万匹集めたのも今となっては良い思い出である。大変だけど、みんなの安眠を守る大切な仕事だった

【No.643 本体はそっち】
友達が「あれ、人間どこいった?」といつものように探していた。「お前よく人間なくすよな」と呆れていたら、布団の中で横たわっていたのを発見する。「おい、いたぞ」「なんだ、こんなところにいたのか」と友達である眼鏡に人間が装着されると、生気のなかった人間がやがて元気に動き出した

【No.644 おいしい身のために】
「バナメイエビは常に動き続けるため、その身はしっかりと引き締まってぷりっぷりの食感が楽しめます」とジムトレーナーが説明する。ルームランナーの上で走り続ける僕に向けて「だからあなたも、私達においしく食べてもらえるように運動しましょう」と、人型エビが巨大ハサミで脅迫してきた

【No.645 森のレストラン】
森の小さな小さなレストランに訪れる。木の根っこに設置された扉をくぐって席に座った。ドングリバーを頼んでコップの中に世界各国のドングリを詰める。そのまま口に含んでカリカリするのもいいし、砕いてジュースにするのも好みだ。人気の店なのか、新たなリスのお客さんが続々とやってきた

【No.647 ころにゃういるす】
世界中で『ころにゃういるす』が蔓延して、一人の人間に対して数十匹の猫がごろにゃーごとまとわりつく。このままでは交通機関の麻痺、餌代など様々なトラブルに見舞われてしまう。『ころにゃういるす』のワクチンを接種するために病院で待っていると、外から大量の猫の鳴き声が聞こえてきた

【No.653 猿の惑星】
「猿でもわかる◯◯シリーズ」が数多く刊行された影響で、今となっては人間よりも本を読んだ猿の方が、圧倒的な知能と文明力を有することになった。プログラミング、サバイバル能力、作法や礼儀。どれをとっても猿に負けている。今、書店では「人間でもわかる◯◯シリーズ」が大流行していた

【No.659 傘の恩返し】
傘が盗まれた。まだ羽も骨も生え揃っていない子どもの頃から育てていたのに、目を離した隙に奪われてしまった。犯人と揉み合った末に隠し持ったナイフが僕を襲う。そのとき、傘が身を呈して守ってくれた。ボロボロになった傘の上に涙がこぼれる。ありがとう。今まで雨や危険から守ってくれて

【No.666 花火の種】
花火の種を植える。大事に育てているとある日、地面から導火線が顔を覗かせる。あともう少しだ。ジョウロでガソリンを撒きながら、夜空に大きく花を咲かすことを願う。途中で雨に流されてしまう花火が多い中、今日も誰かの育てた花火が夜の帳を彩る。僕の花火も、誰かの光になることを祈った

【No.671 幽霊動物園】
いつのまにか『幽霊動物園』に迷い込んでしまう。サボテンを主食とするピンタゾウガメ。仲間を助ける優しい習性を持つステラーカイギュウなど、僕の知らない生物ばかりだ。どうやら絶滅してしまった生命らしい。ふと、僕によく似た二足歩行の動物を見つける。看板には【人間】と書かれていた

【No.672 色泥棒】
色泥棒が捕まった。高校生達の青春、俳優への黄色い声援、部活の紅一点。多くの色が持ち主の元へと戻っていった。捕まった色泥棒は、色を失った被害者の気持ちを知るために、罰として白黒の塗り絵を塗らされることになる。パンダ、シマウマ、アリクイ。面白味のない塗り絵に泥棒は涙を流した

【No.676 猫の妖精】
冬にだけ現れる猫の妖精がいた。寒くて震えている人の元に訪れて、毛布を授けるブランケット・ブラウンケット・シーだ。人語を話し、二本足で歩く茶色い猫。体が暖かくて笑顔に変わっていく人を見て、猫は心が温かくなるのを嬉しく感じる。ブランケットと幸せを運ぶ、優しい優しい、猫の妖精

【No.678 東京ひよこ卍ゅうリベンジャーズ】
飼育小屋の中でニワトリ達の集会が開かれる。メンバーの子どもであるヒヨコをある企業に連れ去られ、お土産の饅頭にされてしまった。リーダーニワトリが「こん中にメンバーの子どもやられてんのにぴよってる奴いる? いねえよなぁ!!?」と高らかに鳴く。今、ニワトリ達のリベンジが始まった

【No.682 歯虫】
現代病である歯虫の治療で、歯医者は患者で溢れ返っている。歯の黒ずんだ部分に足だけが生えた歯虫は、口の中から頭の神経へと潜り込む。乗っ取られた人間は甘いものが欲しくなり、炭酸飲料やスナック菓子を貪ったまま歯磨きをしなくなる。そうして人間を操り、仲間の歯虫を増やしていくのだ

【No.686 雪方不明】
小学校の冬休みに、同級生達が雪だるまを作っていた。僕も混ぜてもらいたかったのに、みんな怒ったり泣きながら僕を追い払った。毎日、毎日、同級生達は雪だるまが溶けないように固め続ける。毎日、毎日。大人になって思い返す。行方不明になった女の子は、一体どこに消えてしまったのだろう

【No.689 サンプルケース】
真夜中に食堂がぽつんと現れた。誘われるように入ってみると、ケースの中には人間が詰まっていた。老若男女問わずに並んだ人間はマネキンらしい。物陰に隠れていると豚、牛、鳥などの動物達が訪れる。店員である謎の生物が「今日は粋のいい人間が入荷しましたよ」と、包丁を片手に笑っていた

【No.691 セミヌード】
友達がセミヌード写真を見せてくれるというので、ドキドキしながら家にお邪魔する。僕はこういうのに免疫がなかった。「写真もいいけど実物の方が興奮するだろ」と言うと友人の妹が部屋に入ってくる。嘘だろ、と思いながら妹が持っている箱を開けると、中にはセミの抜け殻が大量に入っていた

【No.693 塩対応】
鳥に啄まれそうになったとき、一人の若い女性に助けられる。調べてみれば、女性は国民的アイドルだそうだ。お礼を言うために握手会へ参加すると、女性が怪訝な顔をして「スタッフさん。ナメクジがいるんですけど」と僕をデコピンで弾き飛ばした。あまりの塩対応に僕はしおしお萎んでいった

【No.716 金の魚】
本物のお金しか口にしない珍しい金魚を購入する。金額が高ければ高いほど綺麗に育っていく。ある日、水を替えていると、鉢の中にブラックカードを落としてしまい金魚がそれを飲み込んだ。瞬間、クレジット会社から電話が鳴る。「三千万円のご利用がありましたが、間違いではありませんか?」

【No.728 怪獣のあとしまつ】
地球にやってきた怪獣は、小学校の子ども達に温かく迎え入れられました。お遊戯会の主役に選ばれた怪獣は不安で泣きそうです。先生に教えてもらった『緊張しなくなるおまじない』の意味はわからないけど、落ち着いた気持ちで舞台に立ちました。消えた三人の友達のために怪獣はがんばります

【No.729 キャッツカード】
今月はいっぱい仕事をこなしたからご褒美がたんまり振り込まれてるだろう。うきうきしながらATMにキャッツカードを入れたら、なんと100ネコも増えていた。疲れを癒すために20ネコを下ろすと、カバーから20匹のネコがにゃーにゃー飛び出してくる。たまにはこんな贅沢もいいだろう

【No.730 犬猿の仲】
犬猿の仲と言われるように、縄張り争いを繰り広げる犬と猿の戦いは激化する一方だった。犬の猛攻をのらりくらりとかわす見猿、言わ猿、聞か猿の三猿に対して、退か犬、媚び犬、省み犬の三犬は果敢に攻めていく。結果はどうでもよかったけど、父が所有する森だから早く出て行ってほしかった

【No.731 嘘ついたら】
「本当に虹色のウミガメを見たんだって」「お前はいつも嘘をつくからな」「じゃあ今度連れてきてやるよ」「約束だぞ。ひれきりげんまん嘘ついたら口の中にいーれる。ひれきった!」承認欲求を満たすための嘘だった。人間の口に入れられるのを恐れたハリセンボンは、急いで海中を探し回った

【No.743 あめのふる】
雷で目を覚ます。ぽつ、ぽつと窓を叩く音が聞こえて洗濯物を干していたことに気付く。急いで外に出ると頭にこつんと小さなものが当たる。毛玉だ。空を見上げれば「ごろごろ、にゃーん」と鳴きながら大量の猫が降ってくる。そういえば、予報では曇りのちアメリカンショートヘアと告げていた

【No.745 炎上の種】
炎上したのでしかたなく謝罪動画を撮る。レンズを通して背後に黒い塊が見えた。振り返ると大量の髪の毛が絡まって一つの生命体として蠢く。「俺は坊主にすれば許されると思っている奴らに剃られた髪の毛の怨霊だ」髪の毛が首を絞める。薄れゆく意識の中、この動画は再生数が稼げると笑った

【No.≠010 疫猫】
小学生の頃、猫の死体を触ったことがある。母に話すと「そんな汚いものを触ったのなら早く手を洗いなさい」と肩を叩く。でも私には、安らかな表情で眠る猫を綺麗だと思えない母こそ、むしろ汚い存在なのだと感じてしまう。お風呂に入って母に触られた肩を何度も、何度も、何度も洗い流した

【No.≠015 命画】
私にはラクガキを実体化させる力があった。血の繋がっていない娘のために、おもちゃの絵を描いていたある日、娘も猫のラクガキを実体化させた。あぁ、やっぱり私の子だと愛おしく思い、娘を強く抱きしめる。涙が流れ落ちた。頬に触れた先から娘が滲んでいき、やがて一枚の絵に戻っていった

【No.≠028 誘我灯】
地面に寝転がって誘蛾灯を仰ぐ。チカチカと明滅を繰り返す感覚に合わせて、羽虫達が音を立てて飛び回る。光が消えるのを合図に、羽虫が私のおでこに落ちる。それを掬って静かに口に含む。ゆっくりと噛むと、わずかな粘り気と苦みが広がる。私は救いを求めるように、次の誘蛾灯を探し始めた

【No.≠030 からくり人形】
姉が「人形が動いた」と呟く。棚に飾られた人形を見るも当然動いてはいない。錯乱したのか私を避けるようになってしまった。前はあんなにも私と一緒に遊んでくれたのに。早く昔の姉に戻ってほしい。ある日、姉が知らない男性を招き入れて、私を指さしながら言った。「この人形が動くんです」

【No.≠032 水憐】
飼い猫が水槽の中の金魚を食べていた。その光景がとても美味しそうに思えて、私も倣うように口へと含む。ビチビチと胃の中で暴れる感覚が不愉快だった。やがて私の体が透けていき水槽のようになっていく。飼い猫が私のお腹を引っ掻く。体の中ではカメやネオンテトラが窮屈そうに泳いでいた

【No.≠038 我輩の名は】
吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓と見當がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニヤーニヤー泣いて居た事丈は記憶して居る。吾輩はこゝで始めて人間といふものを見た。然もあとで聞くとそれは書生と「ミケー。ごはんよー」飼い主が声を掛ける。我輩の名前はミケであった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652