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140字小説 No.-051‐055

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【No.−051 ドキュメンタリー】
惨憺たるいじめも、色褪せてしまう震災も、ドキュメンタリーにしてしまえば、他人事でいられる。ドキュメンタリーにしてしまえば、作り物だと勘違いできる。ドキュメンタリーにしてしまえば、隠した夢もさざ波に飲まれていく。ドキュメンタリーにしてしまえば、人並の不幸せでも充分だった

【No.−052 心融】
雪かきに勤しむ町並を眺める。庭先から違う家の庭先へと雪を捨てるおばさんと目が合った。軽く会釈をすると胸の奥が痛む。誰かに相談しているようで結局、降り積もった未練や後悔を誰かに押し付けているだけなのかもしれない。どんなに雪が水に変わっていっても、心は未だに溶けないでいた

【No.−053 幸せの原液】
人は生まれた瞬間に、幸せの原液が入った瓶を神様から渡される。お金や倫理観で割らずに濃い特別を求めてもいい。代わり映えしない薄まった日常を楽しんでもいい。原液をどう使うかの解法は人によって違う。大切なのは、全ての幸せを使い切ること。最後の一液はきっと、おいしいはずだから

【No.−054 透明な縁】
誰かと出会った瞬間に、僕達は透明な縁の糸で繋がれてしまう。結んでも解けて、ほつれて、綻びる。糸の強度がそのまま関係の耐久度に繋がるのだ。大切ではなくなった人達のことを思う。途切れてしまっても構わない。ボロボロになってでも縁の糸を結び続けたいと願える、誰かと出会うために

【No.−055 人生テスト】
人生が学べるという塾に体験入学する。テストを受けることになって、先生の声を合図に解答用紙をめくると白紙だった。けれど、他の生徒達は何も書かれていない紙に文字を書き続ける。先生が白い色鉛筆でマルとバツをつけていく。正しさも、間違いも、答えも。僕には最後までわからなかった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652