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140字小説 No.806‐810

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【No.806 星々の集い】
感傷的でつまらない作品だと言われることがあった。明るい話も、幸せで満たされた物語もたぶん書ける。だけど、大切にしたい人達はきっと綺麗な手を掴んでくれない。泥濘に咲く花にしか希望を見出せない人達もいるのだ。誰かの為でもなく。何度も諦めかけては、また、性懲りもなく筆を取る。

【No.807 ジーバーイーツ】
風邪を引いたのでジーバーイーツを頼む。チャイムが鳴って両親を出迎えた。私の代わりに娘と遊んだり、好きな唐揚げを作ってくれる。「お代は孫の笑顔で充分だ」と笑う両親に、ひとり親の私はどれだけ勇気をもらっただろう。離れていても幸せと安心を届けてくれる、優しさの配達サービスだ。

【No.808 星を編む】
寒さに震えながらも彼女は星を編む。夜空に浮かぶ星達を糸で結べば星座の出来上がりだ。かみのけ座は適当に考えたのか聞くと、あれは最初期の作品だからと頬を膨らませた。彼女の手が弧を描く。銀河のキャンバスを彩る。過去と未来を繋げたら、未だに形のない僕も光ることはできるだろうか。

【No.809 電葬】
行方不明から七年が経つと、法律上は死亡扱いになる。待つ人の負担にならないように。それはネットの世界でも同じだ。ログインがなければアカウントは凍結される。短い物語を編むあの人も、淡い流線を生むこの人も、本当はもういないのかもしれない。最後の呟きに別れの言葉を乗せて、黙祷。

【No.810 形骸化】
弟を事故で亡くした彼女は過食気味になった。左手の薬指にできた吐きだこは婚約指輪がはまるのを妨げる。彼女からもらった度の合わなくなった僕の眼鏡も、思い出の形は変わらない。ただ、歪んでしまった僕達が、正しく収まらないのを「世の中は変わってしまった」と言い訳にしているだけだ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652