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140字小説 No.-131‐135

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【No.-131 命の名】
私は与えられた名前によって魂や姿を変えていった。今は『人間』という役割をもらって、形容し難い感情に名前を付けていく。「スランプはチャンス」と誰かが言っていた気がする。結局、物事は捉え方次第だ。もしかしたら漠然とした不安だって、まだ、名前がないだけの希望なのかもしれない。

【No.-132 夏夢】
毎日、決まった時間に昔の小説が届く。それは何の進歩もない私に現実を突きつけるためなのか、原石のような物語があったことを思い出させるためなのか。欺瞞も、焦燥も、泥濘も、憐憫も、怠惰も嘲笑も未練も後悔も連れ立って文章を書き続ける。いつか、ペンは剣よりも強いと証明するために。

【No.-133 コトバミツツキ】
言石の即売会に参加する。ほんのりとあたたかい文章。触れば傷つきそうな文字。磨かれる前の物語が一堂に会する瞬間が好きだ。感傷や鈍さが残る僕の言葉でも、誰かにとっては輝いているのかもしれない。今はまだ見向きもされないけど、会場には多くの人が行き交う。だから、いつかきっと──

【No.-134 感情制限】
「割り勘でいいよな?」無理に連れて行かれた居酒屋で、嫌いな上司が強引に訊ねる。僕の返事を待たずに怒った話、泣いた話、納得いかない話を延々と繰り返す。上司はひとしきり喋って平穏を保てるけれど、捌け口となった僕の不満は溜まっていく。感情が勝手に割られては平均化されていった。

【No.-135 ダウングレード】
人生アプリが強制インストールされる。無料でも楽しめるけど、課金するほど豊かになっていく。ある日、公式から「ハードモードに変更されたり、幸福度の格差が広がるバグを調整しました」と告知が入る。それでも、人生がより良くなることはなかった。結局、僕自身の生き方の問題だったのだ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652