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140字小説 No.881‐885

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【No.881 デザートデイズ】
ファミレスで店員さんが大盛のハンバーグを太った私に、苺パフェを小柄な女友達の前に置く。見た目的にはそう思うのが普通だろう。落ち込む私をよそに、若鶏のグリルを「これ、私が食べます!」と大声で頼む。女友達が私を見て悪戯っぽく笑った。一口、苺パフェを含めば甘酸っぱさが広がる。

【No.882 黒斑に残る】
指に刺さったトゲを、母が優しく抜いてくれたのを思い出す。長い前髪から覗くおでこの青痣と、父の暴力で残った鉛筆の芯は今でも目を伏せてしまう。昔はシミとホクロだなんてごまかしていたっけ。いつか、母の人生に巣くうトゲも取ることができたなら。そう願う度、心に小さな痛みが走った。

【No.883 人生の皆勤賞(通算1400作目)】
無欠席が唯一の自慢だったのに、今では高校に行かず引きこもっていた。人生の皆勤賞を讃えても、亡くならない限り誰もが命を継続している。褒められはしないけど、せめて、誇れるような自分でありたいと思う。惨めだって、これまでとこれからを生き抜くために。平穏な日々を、平凡に過ごす。

【No.884 フレネルプリズム】
「僕の夢ってなんだろう」「起きたばかりなのに覚えてないの?」「夜に見る夢じゃなくて、叶えたい未来とか理想の生き方の話だよ」「朝でも昼でも、眠ったら夢は見るでしょ」彼女が意地悪く笑う。何でもない日常は、騒がしい非凡より貴重なのかもしれない。初めから、夢はここにあったのだ。

【No.885 幽か佇む】
友人の話では同僚が、病室の窓越しから高校を睨む老婆を見るらしい。ただ、その場所はもう廃病院になっているし、誰に聞いても同僚のことを知らないと話す。信じがたい話だけど友人の姿は僕にしか見えておらず、まぁ、そういった不可解なことだってあるのだろう。と、廃校から老婆を眺める。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652