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140字小説 No.≠116‐120

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【No.≠116 混成大夥】
僕の体には動物が生まれる力があった。ペンを握り過ぎると指がタコの足に変わるし、夜遅くまで文章を書いていると目にクマがぶら下がる。この秘密を小説にしてしまおう。これで大賞は間違いないゲロ。ゲロゲーロ。鏡を見ると体がカエルに変化している。どうやら、井の中の蛙だったみたいだ。

【No.≠117 群青散花】
数年前、彼女が花の髪留めを羨ましそうに眺めていた。黒くて、とても長い髪が揺れていたのを思い出す。こっそりと買っては、そのまま渡す機会はなかった。彼女のお見舞いに訪れる度に、使う必要のない花の髪留めがバッグの底で息を潜める。薬の副作用で抜けてしまった、彼女の髪を見つめた。

【No.≠118 尾灯】
バイクで旅をするのが好きだ。けれど、将来や目的地も見えずに、暗闇の中を走り続けることに不安を覚えたりもする。その度に前を走る友人達のテールランプが光となって導いてくれた。自分もいつか、誰かを照らすテールランプになることができれば。そう思いながら、目の前の光を追いかけた。

【No.≠119 底推し沼】
女性が底なし沼にはまっていた。「大丈夫ですか?今、助けますから」「いえ、このままで大丈夫です」「え?」もう顔しか出ていない状態なのに。「推し活や二次創作をしていたらいつのまにか沼にいたんですけど、なかなか気持ちよくて」そう言って女性は、幸せそうにズブズブと沈んでいった。

【No.≠120 変装ごっこ】
姉のイタズラで女装をさせられた。最初は嫌だったけど、鏡の前に立って姿を確認したらすごく似合っていた。女顔も理由の一つかもしれない。ふと、かっこいい小学生の妹なら男装が似合うかもと思い、僕の服を着させてみる。そこで初めて気付く。妹もまた、ずっと姉にイタズラされていたのだ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652