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140字小説 No.741‐745
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【No.741 漢字の達人】
雛罌粟、玉蜀黍、竜髭菜。どんなに難しい漢字だって儂の頭一つで乗り越えてきた。ある日、小学五年生の孫が「クラスの女子が俺のこと『嫌い』って言うのに、ずっと近くにいるんだ」と怒っていた。なのに、どこか嬉しそうな孫の姿に頭を抱える。いくら儂でも女心、空気、行間は読めなかった
【No.742 仙人の暮らし】
レポーターの女性が『仙人の暮らし』を紹介する。高級住宅に住む男性はヴィンテージワインを飲み、大型モニターで映画を観る男性を僕は鼻で笑う。空中都市に住んで、飲食をしなくても生きていける改造を受けて、脳に映像が直接浮かぶ力を手に入れた新人類にとって、彼は仙人そのものだった
【No.743 あめのふる】
雷で目を覚ます。ぽつ、ぽつと窓を叩く音が聞こえて洗濯物を干していたことに気付く。急いで外に出ると頭にこつんと小さなものが当たる。毛玉だ。空を見上げれば「ごろごろ、にゃーん」と鳴きながら大量の猫が降ってくる。そういえば、予報では曇りのちアメリカンショートヘアと告げていた
【No.744 彼の手料理】
彼が夕飯を振る舞ってくれると言うので席につく。料理は苦手なはずなのに、出されたロールキャベツは黄金に輝いていて肉汁が澄み渡る。だけど、一口食べても味が全然しなかった。そっか。彼のおいしくない料理を食べたくないから、味覚スイッチを切って視覚力を強くしたんだった。ごめんね
【No.745 炎上の種】
炎上したのでしかたなく謝罪動画を撮る。レンズを通して背後に黒い塊が見えた。振り返ると大量の髪の毛が絡まって一つの生命体として蠢く。「俺は坊主にすれば許されると思っている奴らに剃られた髪の毛の怨霊だ」髪の毛が首を絞める。薄れゆく意識の中、この動画は再生数が稼げると笑った
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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652