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140字小説 No.-151‐155

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【No.-151 雪葬】
雪合戦に興じる子ども達を横目に、まっさらな歩道へと踏み出せずにいた。綺麗なものは汚したくないくせに、少しでも濁ってしまえば気にしなくなる。私のせいじゃないからと『誰か』を言い訳にする浅ましさを、雪の中に埋めて消えたかった。白い吐息が揺れる。私の軽薄な命が、しんしんと──

【No.-152 言葉の外側】
空気を読む。先を読む。余白を読む。察しの文化と言えば聞こえがいいけれど、要は大切なことを濁しているだけだ。「諦めなければ夢は叶う」という妄想を信じるのに、何百ページの行間を読まないといけないのだろう。伝えたい気持ちは言葉にしないと伝わらないよ。なんて、声を出さずにいた。

【No.-153 生活は続く】
昔からどんな稽古も長続きしない私に、どんな仕事も長続きしない叔父が「俺達は『継続しない』を『継続してる』んだよ」と笑っていたの思い出す。延命治療を拒んだ叔父は命を繋がない選択をした。それはきっと悪いことではない。明日もたぶん幸せじゃないけど、それでも、私の生活は続く。

【No.-154 恵方に進む】
お皿を用意しながら、彼女が「恵方巻きは『ええ方マーク』が由来なのよ」と豆知識を披露する。日本発祥の文化に英語は使わないだろと茶化せば、気まずさをごまかすためなのか恵方巻きにかぶりつく。無言で食べ切れば願いが叶うという言葉を信じて。僕達の素晴らしき行く末よ、南南東へ進め。

No.-155 命だった
「このアイスケーキを二つに分けてさ、小さな方にイチゴを、大きな方にチョコプレートを乗っけたら、どっちに価値が――」「ねぇ、」命だったご馳走を前に、私達には今日があることを祝う。「溶けちゃうよ」「そうだね」ろうそくの火を消す。暗闇が灯る。「誕生日おめでとう」「ありがとう」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652