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140字小説 No.-061‐065

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【No.-061 白線の内側】
子どものころに描いた未来を、大人になった私が塗り潰していく。次の機会を、将来を。心の中のホームで乗るべき明日を見定める。何一つ言われていないのに、小さな私の幻想に向かって「その道を歩くのは危ないよ」と嗜める。自分で引いた白線の内側で、不安が通り過ぎていくのを待っていた

【No.-062 人生の道】
思い出はマラソンのようだ。楽しかったことや、悲しかったことも、その日を出発点に記憶から遠ざかるほど不透明になっていく。人生の道は後ろに続いていない。どんなに覚えていたくても、遅く歩いても、どうせいつかは曖昧になってしまう。忘れることは悪いことではないと、小さく、笑った

【No.-063 歩き噂】
網を持った怪しい男性がいた。確か、悪い話ばかり聞く有名人だ。僕に気付いた男性が網を振り回しながら迫ってくる。網が体をすり抜けるとやわらかな風が吹いた。瞬間、男性に対する悪印象が薄れていく。「あれ、どうして」「根も葉もないネットの噂が、一人歩きしてるから捕まえてるんだよ」

【No.-064 CIA】
俺をジッと見つめる猫の姿に心を許してしまう。もう楽になりたい。こいつになら罪を打ち明けてもいいだろう。「俺な、人を殺めてしまったんだ」/猫の目型の映像を睨む。「容疑者がついに口を割りました」諜報員の人工知猫(Cat Intelligence Artificial)は、情報戦において欠かせない存在だ

【No.-065 青濁を併せる】
歩道橋の上から高校生の男女を眺める。距離的に付き合っているのだろうか。二人とも携帯画面に夢中となっている。目の前の青春より大事なものってなんだろう。煙草を吸って、深く息を吐いた。私にもあったはずの思春期が灰色に濁っていく。色んなことを見て見ぬ振りしてきた報いだった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652