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140字小説 No.-126‐130

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【No.-126 Starry Sky】
「えび天がロケットに見える」お昼にそばを食べながら妻が呟く。確かに尻尾が燃え盛る煙のように思えた。他愛もない話を交わしながらボードゲームに勤しみ、文章を綴り、退屈だった毎日は思い出のインクで塗り替えられた。明日は幸せじゃないかもしれない。それでも生活は、ゆるやかに続く。

【No.-127 アンリアル】
死ぬ前に達成したいことをリストに書き連ねる。未練や後悔がないよう生きるための行為なのに、全てが終わったら気兼ねなく死ねると思ってしまうのは不可解だ。ひとつずつ、区切りをつける様は生前葬のようで面白い。死せずして生まれ変われる演劇みたいに、人生は何度だってやり直せるはず。

【No.-128 ループ&ループ】
神様の気まぐれで地球を作り替えるそうだ。「最期なんだから好き勝手やっちゃってよ。望めば何でも手に入るからさ」次の世界に人類はいらないから慈悲だという。あと数時間で地球は滅びる。何かが劇的に変わると思った。それでも、嫌いな奴は嫌いだし、真夜中に飲むコーラはとてもおいしい。

【No.-129 グランドエスケープ】
今日は皆既月食だそうだ。なんとも不思議な事で、欠けているのに、満ち足りていないのに、人々は嬉しそうに夜の帳を見上げる。不完全だって、歪んでいたって、惹かれるものは存在した。うつむきながら、私は水溜りに映った月を眺める。特別じゃなくても、きっと、救いはどこかにあるはずだ。

【No.-130 幸福を彩る】
結婚記念日を祝う。子ども達が作ったどんぐりのネックレス。妻が折った紙の花束。星々を砕いたふりかけでおこげを食べると、幸せな思い出が蘇ってくる。特別なことなんてなくてもいい。ただ、この先も一家団欒が続くのを願う。僕らが丁寧に彩った生活だ。何者にだって塗り返されてたまるか。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652