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140字小説 No.≠111‐115

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【No.≠111 たいふうさん】
おかあさんが「たいふうには『め』があるのよ」ってゆってました。すながかぜでとんで、たいふうさんの『め』にはいって、いたいよー、いたいよー。ってなみだがでて、それがあめになってそらからふるんだーってわかりました。だから、わたしはたいふうさんにやさしくしようとおもいました。

【No.≠112 父からチチへ】
保育園に息子を迎えに行った帰り道、妻のお母さんからメールが届く。『娘が母からハハになりました』何かの打ち間違いかなと思い、しばらく考え込む。ふと、その意味に気付いて歓声を上げる。「お前もお兄ちゃんになるんだぞ」僕は息子をおんぶして、急いで妻の入院している病院へ向かった。

【No.≠113 音信不通】
「もしもし。こっちは思ったよりも良い場所だよ。懐かしい人達にも会えたし、美しい景色ばかりだしさ。だから、あなたは何十年後かにおいで」『お掛けになった電話番号は使われていないか、電波の届かない場所にあります。お掛けになった――』あぁ、そっか。天国って電波が届かないんだね。

【No.≠114 別れの逃避】
彼に対する愛想も尽きていた。あの人から避けるように朝帰りしたとき、商店街のシャッターが少しずつ開いていった。お店から淡い光が漏れ出す。どうしてか、中を見てはいけない気がして慌てて視線を逸らした。それは彼から、あるいは自身から逃げた私の、後悔や罪悪感だったのかもしれない。

【No.≠115 逃命】
朝、目が覚めたら透明になりたいと願う。みんなから見えず、みんなから気付かれず、みんなから取り残されて。死んでしまうのは悲しいから、せめて、誰もが私のことなんて忘れてしまえばいいのに。夜、目を閉じると私の輪郭が浮き彫りになっていく。その度に、心が透明に濁り出すのを感じた。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652