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鉛筆を噛む

癖が小学生のときにあった。美味しかったからというわけではない。自分でも当時はなぜ噛んでいたのか不思議だったけれど、今にして思えばあれは一種のストレス発散や寂しさを紛らわす行為だったのかもしれない。もしくはトゥレット症候群の一種だったのかも。その話についてはこちらを参照にしてほしい。

先端ではなく削っていない方を噛むのだが、面白いことに芯の固さで感触や味が違うのだ。芯が固ければ固いほど当然(と言っていいのかはわからないが)歯ごたえというか感触が固くなり、味も濃くなる。この場合の味とは旨味ではなく、噛んだときの木から滲み出る唾液と捉えた方が的確だろう。

とにかく、芯と木の匂いが強くなるのだ。覚えている限りではチャコペン、色鉛筆とペン系ばかりであった。消しゴムやクレヨンを噛んだことがあるのかもしれないが、覚えていないしきっとお腹を壊すと思うので2度目はなかったのだと思う。

人から借りた鉛筆も無意識に噛んでしまったことがあり、慌ててハンカチで拭いたものの「汚いからもういらない」と呆れられてしまった。不幸なことに借りた人が自分の好きだった人のため、その言葉にショックを受けたのを今でも鮮明に覚えている。

たぶん、このことがあってから自然と噛み癖が治ったのかもしれない。誰かから言われた「犬みたい」という言葉も子どもながらに辛かった覚えがある。そんな思い出を、ずっと真夜中でいいのにの『秒針を噛む』を聞いて思い出した。

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