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140字小説 No.666‐670

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【No.666 花火の種】
花火の種を植える。大事に育てているとある日、地面から導火線が顔を覗かせる。あともう少しだ。ジョウロでガソリンを撒きながら、夜空に大きく花を咲かすことを願う。途中で雨に流されてしまう花火が多い中、今日も誰かの育てた花火が夜の帳を彩る。僕の花火も、誰かの光になることを祈った

【No.667 伝播塔】
今では一人に一基、頭の上に伝播塔が建っている。悪意も、陰口も、暴論も、簡単に発信できてしまう。受け取った側もまた、負の気持ちが伝播して色んな人を攻撃していく。誰が、誰に、誰へ向けたメッセージなのかもわからずに。「もうやめようよ」小さな声が、今日も伝播に掻き消されていった

【No.668 ケンケンパ】
夜道にケンケンパのマークを見つける。懐かしくなりケン、ケン、パ。片足、片足、両足と前に進んで楽しくなってしまう。ケン、ケン、パ。ケン、ケン……あ。マークの間隔が少しずつ広くなっていることに気付いたときには遅く、徐々に股が割かれていく痛みが支配する。妖怪ケンケンパの仕業だ

【No.669 掛け惨】
両親の二人が死んだ。奴隷のように扱われて、散々と苦労した僕はやっと死後に自由を手に入れた。なのに、兄さんがロクでもなく、資産を自由に食い潰す。怒りのあまり僕はにこっと銃を突きつけて、資産を僕に全部譲るよう遺言を書かせる。紙の上のインクがくすむ。午後に銃口から弾が放たれた

【No.670 ワードプロセッサー】
ワードプロセッサーの中に言葉を詰め込む。夢、希望、愛。前向きな言葉を砕き、文章にして飲むと読後感がすっきりとしている。逆に嘘、不安といった言葉を飲むとニガニガした後味になってしまう。言葉の好みは人それぞれだ。だからこそ、誰かの嫌いを否定せずに、自分の好きな言葉を勧めたい

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652