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140字小説 No.661-665

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【No.661 無色透明】
マスクが自動販売機で買える時代になった。と、言ったら若い子達に「当たり前じゃん」と笑われそうだ。それもそうなのだろう。今では愛も、夢も、友達も、希望も、才能も、幸せだって、自動販売機で買える。硬貨を入れて『未来』のボタンを押す。とても冷えきった、無味無臭の『未来』だった

【No.662 マナーの起源】
目上の人に対してお辞儀するように、ハンコを傾けて押す。というマナーを最初に生み出した人に話を伺うことができた。「適当に押したら斜めになっちゃったんだよね。怒られたくないから言い訳を考えてたら、なんかお辞儀みたいだぞって思って。それが起源。マナーなんて大抵そういうもんだよ」

【No.663 本命チョコ】
大好きな男の子に手作りの友チョコを送る。私には本命チョコなんて早い。初対面の私達はまずお友達から。訝しむ彼の口にチョコをねじ込むと、痙攣を起こして、白目を剥き、口から泡を吐いてその場に倒れ込む。「私、友達だよね?」彼が頷く。なんだ、さっさと本命チョコの方を渡せばよかった

【No.664 濡れる】
駅のホームに辿り着いていることにも気付かず、傘を差したままのサラリーマンが歩いていた。うっかりだなと思いつつ彼の表情を覗くと、俯いて、虚ろんだ目で、うわごとを繰り返す。雨だ。彼の心には、まだ、ずっと、雨が、雨が、雨が降り続いている。空が晴れ始めても、ずっと、雨が、雨が、

【No.665 最先端恐怖症】
僕は最先端恐怖症を患っていた。流行を知ってるのは当たり前、知らないと遅れてる。そんなだと時代に取り残されちゃうよと誰かが僕を笑っていた。よくわかんない服を着た人が、よくわかんない物を食べて、よくわかんない動きをして、よくわかんない生き方で、よくわかんない言葉を話していた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652