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140字小説 No.-141‐145

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【No.-141 日替わり定職】
仕事に迷ったら日替わり定職を頼む。割を食わされたり、苦虫を噛み潰したような感覚があれば違う職業を試せばいい。そうして自分に合った天職を見つけるのだ。ある日、友人が職券を渡すと誰もが嫌がる仕事を出されてしまう。作業を残すと思いきや終業まで働いた。「蓼食う虫も好き好きだろ」

【No.-142 レンタル彼女】
レンタル彼女の常連になっていた。料金は固定ではなく、選んだ女の子によって変わる。無邪気で、料理がおいしく、少し臆病な僕の彼女は最安値だった。楽しい時間を、涙が溢れるほどの幸せを与えてくれるのに。機械人形にレンタルした命を埋め込む。見た目以外は、亡くなった彼女そのものだ。

【No.-143 目的地案内人】
人助けの仕事に向かう。四六時中、国内外を問わず駆け巡るにはスタミナが必要だ。二人一組の作業で、負担になる方は先輩である僕が担う。大きなピンを持って、後輩の立つ位置から指定の場所まで全速力で辿り着く。ピン同士の間に張られたテープの色を頼りに、迷子を目的地まで案内するのだ。

【No.-144 ロストメッセージ】
言葉は誰かを傷付けるから、スタンプでのやりとりが定着した。日常生活も、感情表現も、単純なイラストのみで伝える。今では人の顔より携帯を見る時間の方が長い。ポン、とスタンプ音が鳴る度に大切な事を失っていく。頭から言葉がすり抜けていく。世界中で、ポン、ポン、と文字の残骸が──

【No.-145 不定型文】
触れにくいことや、扱いづらさに蓋をするように言葉は形を変えていく。「『いじめ』ではなく『犯罪』」「『いじり』ではなく『差別』」結局、物事を曖昧に溶かして掴みにくくしているだけだ。形を変えたところで、本質は変わらないのに。『多様性』という言葉に、少数派が淘汰されていった。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652