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140字小説 No.511-515

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【No.511 手相売り】
地下街に手相売りなるお店があった。男性いわく、占いは客の手を見たときに手相を奪うそうだ。腐った政治家からは生命線を。不倫ばかりする芸能人からは恋愛線を。暴力を振るう会社員からは健康線を。そして報われない人達には珍しい手相を与えていく。ここは占い師から仕入れた手相を売る店

【No.512 こねこねこの素】
ストレスが溜まったので「こねこねこの素」を買った。ボウルの中に粉を入れて水を流し込む。手でこねていると生地が「にょん、にょん」と鳴き声を上げては子猫の形に変わっていく。こねて、鳴いて。間の抜けた声ともちっとした柔らかさで、完全な子猫の姿になったときにはとても癒されていた

【No.513 靭性ゲーム】
自分の生き方を人生ゲームにしてくれるサービスを購入した。どんなイベントが起こるのか。どんな職業があるのか。楽しみに待っていると細長いボードが届く。開けてみると、マス目には何も書かれておらず直線に伸びるだけだった。山も谷も給料も結婚もない、とんだ不良品を買わされたと憤った

【No.514 もの忘れ】
「最近、物忘れが酷くてさ」「奇遇だな。俺もなんだよ」「お前も物忘れが酷いのか」「え、なんでそれを知ってるんだ?」「あれ、そういえばなんでだろう」「こわいなぁ。お前だって物忘れが酷いんだろう」 「え、なんでそれを知ってるんだ?」「あれ、そういえばなんでだろう」「こわいなぁ」

【No.515 陸橋】
私の呼び掛ける声で駆け出した妹は、トラックに轢かれて死んでしまった。妹を殺した醜い声を聞きたくなくて、私の両耳は不自由となった。命日になると私は陸橋の上で道路を見つめる。イヤフォンから流れる音量を下げた。キシ、キシ、と鳴る陸橋の軋みが、亡くなった妹の悲痛な叫びと重なった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652