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140字小説 No.686-690

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【No.686 雪方不明】
小学校の冬休みに、同級生達が雪だるまを作っていた。僕も混ぜてもらいたかったのに、みんな怒ったり泣きながら僕を追い払った。毎日、毎日、同級生達は雪だるまが溶けないように固め続ける。毎日、毎日。大人になって思い返す。行方不明になった女の子は、一体どこに消えてしまったのだろう

【No.687 言の葉の庭】
「言葉なんてあるから差別が生まれる。言葉なんてあるから中傷が始まる」という思想を持って、とある国から言語消失弾が世界に撃ち込まれた。爆風を浴びた人達は言葉が頭から抜け落ちてしまう。言葉を守るため、本棚シェルターに避難して文章を蓄える。大切な言葉を、誰かに届けられるように

【No.688 からくじ】
恵まれて、甘やかされて、施されて。みんなに与えられ過ぎてしまったから、アタリだけのクジが入った箱を受け取ったことに気付かないでいた。少しでも気に食わないことがあればハズレだと思い込む。道端に捨てられて、ボロボロになった何百枚ものアタリクジを、誰かが恨めしそうに眺めていた

【No.689 サンプルケース】
真夜中に食堂がぽつんと現れた。誘われるように入ってみると、ケースの中には人間が詰まっていた。老若男女問わずに並んだ人間はマネキンらしい。物陰に隠れていると豚、牛、鳥などの動物達が訪れる。店員である謎の生物が「今日は粋のいい人間が入荷しましたよ」と、包丁を片手に笑っていた

【No.690 照れワーク】
今まではテレワークだったけど、マスクなしの出勤ができるようになった。久しぶりに見る同僚の顔や、途切れずに聞こえる生の声は心地よい。厳格な部長が新人社員に質問されると、パソコンに向かって話し始める。これまでの癖が出たようだ。こわばっていた空気がやわらかくなって部長が照れた

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652