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140字小説 No.601‐605

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【No.601 あのころ】
今まで空き地だった場所に駄菓子屋が佇んでいた。狭い空間に子どもが九人と賑わっている。おばちゃんから懐かしい気持ちになる大玉アメをもらって舐めると、子どものころに戻った気がして涙が出てきた——/今まで空き地だった場所に駄菓子屋が佇んでいた。狭い空間に子どもが十人と賑わっていた

【No.602 言葉の魚】
鮗と鮴の泳ぐ波打ち際で高校生の男の子と女の子が遊んでいた。砂浜を蹴るたび光と一緒に鰙が飛び交う。その様子を眺めながら、甘酸っぱい海の中を鯖と鰆が戯れる。生きている間、ずっと、どこにいても言葉の魚は泳いでいて、きっと、新しい「何か」の訪れに、世界中で魣と鱤が溢れ出していた

【No.603 仮面夫婦】
私の両親は何年も前から仮面夫婦だった。共働きで忙しいのはわかるけど、常にどちらかは家にいないのがさみしい。今ではお互いの顔も忘れてしまったみたいだ。本当の自分を見せていない。今日もどこかで救いを求める声を聞きつけて、両親はヒーローに変身して怪人退治のために救助へ向かった

【No.604 言切屋】
「ごんばんば。おびざじぶりでず」と異変に気付いたのは、前職でお世話になった先輩に会ったときだった。「ぎょゔにがぎっで」どうやら言葉に濁音が溜まってきたらしい。「言切屋に行った方がいいぞ」「ぞうでずね」せっかくの再会に申し訳なく思いつつ、言葉の濁りを切ってもらうことにした

【No.605 白紙】
『一生に一度しか読めない本』を購入する。読む人によって内容が全く変わって、写真や動画に収めてもいつのまにかデータは失われていて、文字を読んでいくとページから消えていく。ふと白紙になった本を眺める。言葉のひとつひとつを大切にするように。そういった願いが込められた本だそうだ

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652