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140字小説 No.≠096‐100

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【No.≠096 落ちる、花、生きる】
「白詰草ってさ、すごく素敵な花だと思ったの。だって白が詰まってるんだよ。そしたら、クローバーのことだって知ってがっかりしちゃった。え、落花生? それくらい知ってるよ。落ちる、花、生きる。言葉は綺麗なのになぁ」四つ葉を探すために、多くの三つ葉を踏みながら彼女は笑っていた。

【No.≠097 海の月】
「海に月が沈んだら、くらげになってふよふよ泳ぐんだよ」だから月の漢字はくらげに似ていると、彼女がけらけら笑っていた。透き通るような肌の白さは、どこか月の光を感じさせる。「私も海に沈んで、くらげになって、行方不明になりたいなぁ」何もかも奪うような、白くて大きな満月だった。

【No.≠098 バックログ】
去年の手帳を眺めながら、新しい手帳に友人達の誕生日を書き込む。ふと、彼女だった子の名前を見つけて筆が止まった。書いては消して、書いては消して。彼女の名前がうっすらと滲んでいく。関係性の引き継ぎ作業だ。記念日が多くなるほどに、思い出以外の全てを蔑ろにしている感じがした。

【No.≠099 ねこギター】
河川敷で『ねこギター』を弾く。ねこのヒゲで作られた弦を、肉球型のピックで掻き鳴らせば、にゃにゃーん!と鳴き声が響いた。へたくそな歌声に人は集まらないけど、気付いたらねこの大軍に囲まれていた。にゃにゃーん!僕のギターにふんわりとした合いの手が加わる。かわいいお客さん達だ。

【No.≠100 憐夏】
彼女が「憂鬱に名前を付けて、それを水風船に書いて割りたいね」と言っていた事を思い出す。彼女は失うために、自身の名前を水風船に書いて割ってしまったのだろうか。熱に浮かされている間に夏が終わってしまう。夕方のニュースが流れる。「深刻な寒波が続き、この国の四季は春秋冬に――」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652