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140字小説 No.-236‐240

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【No.-236 しによん!】
彼女のお団子頭がチョコミントアイスになっていた。どうやら食べたもので変わるらしい。エスカルゴなら紫陽花、おにぎりならサッカーボールといった具合に。疲れた顔で就活に向かう前、彼女がポンポンに変わった髪を揺らして応援してくれる。そういえば、昨日の夕ご飯はトンカツだったっけ。

【No.-237 青春を描く】
砂浜にイーゼルを置いて、キャンバス代わりの海を眺めた。修学旅行中の高校生のために『青春』を描く。水彩絵の具でさざ波を、雲形定規で入道雲を現実に生み出す。どこかで風鈴が鳴った。私自身が美しくなくても、私の描いた物語が誰かの光になれたら。そう信じて、今日もまた絵筆をふるう。

【No.-238 さやかな、ささやか。】
「『さやかな』と『ささやか』って、言葉は似てるのに意味は正反対なのね」彼女が夜空を見ながら話す。「『サイレン』と『サイレント』もか」そう思うと不思議な気分だ。「あ、流れ星」ささやかな時間に、さやかな光が降り注ぐ。僕達の日々だって似てるけど、退屈とは程遠いのかもしれない。

【No.-239 凪晴るる】
家も学校も辛いとき、私は岬に住む魔女の元を訪れる。「昔は人魚だったけど、人間のせいで汚れた海を捨てて魔女になったのよ」お姉さんはいつも色んな話をしてくれた。庭に咲く風鈴のこと、散った夢は金平糖になること。「逃げてもいいなんて綺麗事だけどね、苦しくなったらいつでもおいで」

【No.-240 ワープカーテン】
毎朝、カーテンを開ける度に窓越しの景色は変わる。水族館、小宇宙、白亜紀。入院生活が長い僕にとって楽しみな瞬間だった。ある日、僕の通う小学校が映る。仲の良い友達、優しい先生。この部屋にいればどこでも冒険できるけど、僕が本当に行きたい場所は、やっぱりみんながいる教室なんだ。

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652