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140字小説 No.711‐715

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【No.711 幽かむ】
「この前遊んだときに撮った写真。私の体が薄くなってるんだよね。心霊写真かな?」と友人が私に話しかけてくる。あのあと、車に轢かれた彼女は亡くなったことに気付いていないらしい。私は同級生に「この子のこと見える?」と聞いても無視されてしまった。確かに、誰も取り合わない話だろう

【No.712 どこまでもドア】
旅行が好きな僕の前に扉が現れる。扉を開いたら観光地に繋がった。気軽に旅をしてはブログを書き綴る。人気も知名度が上がった僕は、承認欲求を満たすために次々と扉を開けていく。ここは映えない。ここは有名じゃない。次の扉を。次の扉を。いつのまにか、扉の先にはまた別の扉しかなかった

【No.713 吊り橋効果】
オンボロで有名な吊り橋に意中の子と訪れる。この心臓の高鳴りは怖さのせいなのか、それとも……。奥手な女の子の代わりに僕が押さないといけない。ドキドキと脈を打つ。押せ。押せ。押すんだ! ギシ、と吊り橋が鳴って女の子が奈落に落ちていく。これで彼女の最期の思い出が僕のものになった

【No.714 掠れ綴る】
古い本が好きだ。読了日が書かれていたらその日に思いを馳せて、犯人の名前が丸で囲まれていたらその人に目を光らせる。ハッピーエンドの一ページ手前にしおりが挟まっていた。前の本の持ち主は幸せの一歩手前で諦めてしまったのか。物語が終わってしまうのが嫌だったのか。本音は、未だに——

【No.715 届けもの】
配達アプリでお昼を注文する。ところが予定を三十分過ぎても到着せず、結局届いたのは更に一時間後だった。料理はぐちゃぐちゃでおまけに冷めている。なのに悪びれもしない配達員に「お前なんなんだよ」と怒ると、ウーザーイーツと書かれたバイクに乗って「不届きものでーす」と逃げていった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652