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140字小説 No.676‐680

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【No.676 猫の妖精】
冬にだけ現れる猫の妖精がいた。寒くて震えている人の元に訪れて、毛布を授けるブランケット・ブラウンケット・シーだ。人語を話し、二本足で歩く茶色い猫。体が暖かくて笑顔に変わっていく人を見て、猫は心が温かくなるのを嬉しく感じる。ブランケットと幸せを運ぶ、優しい優しい、猫の妖精

【No.677 もう一度】
初めての彼女に舞い上がってしまう。けれど、何度も何度もデートを重ねていく内に飽きがきてしまった。「もう一度記憶を全部消して君と付き合いたいな」「それ、記憶がなくなる前にも言ってたよ」「え?」どういう意味と聞く前に意識が飛ぶ。目覚めると目の前には知らない女性が微笑んでいた

【No.678 東京ひよこ卍ゅうリベンジャーズ】
飼育小屋の中でニワトリ達の集会が開かれる。メンバーの子どもであるヒヨコをある企業に連れ去られ、お土産の饅頭にされてしまった。リーダーニワトリが「こん中にメンバーの子どもやられてんのにぴよってる奴いる? いねえよなぁ!!?」と高らかに鳴く。今、ニワトリ達のリベンジが始まった

【No.679 わたゆめ】
路地裏でわたゆめが売られていた。昔の夢をお菓子にしてくれるのだ。売り子が棒をくるくると回していく。パイロットなら飛行機の形に、サッカー選手ならボールの形にわたゆめが夢を象る。僕のは歪な形で、口に含んでも甘いのか苦いのか判断がつかない。あの日、描いた夢はもう忘れてしまった

【No.680 春撒き】
冬の凍てつく寒さが通り過ぎたころ、町中では一斉にスプリングラーが起動した。勢いよく回るノズルから桜の花びらが撒かれる。枯れた木は鮮やかに蘇り、どこからか暖かい風を運んできた。今年こそはみんなでお花見ができるように願う。厳しい時代を乗り越えた証の、待ちに待った春撒きの季節

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652