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140字小説 No.706‐710

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【No.706 ハラハラ】
セクハラやパワハラだけに留まらず、最近はハラハラが増えた。小銭が多いと嫌がるコインハラスメント。すぐに連絡を返さないと怒るリプライハラスメント。わざと負けないと駄々をこねるゲームハラスメント。なんでもかんでもハラスメントだと訴える、ハラスメントハラスメントが蔓延していた

【No.707 過去世】
手帳の引き継ぎ作業が好きだ。好きな人の誕生日。何かを成し遂げたときの記念日。また一つ思い出が積み重なった事を嬉しく思う。一方で嫌いになってしまった人の誕生日や、大切でなくなってしまった日を書き込まずにいる。そういった『いくつか』を見ないふりして、幸せだけを更新していった

【No.708 境界線】
正月と日常の境目があやふやになっているとき、ふと、新聞のテレビ欄から『新春』の文字が消えていることに気付いて現実に引き戻される。街の喧騒や雰囲気ではなく、言葉ひとつで季節の移り変わりを実感するなんて滑稽な話だ。その日、遅い初詣に訪れてはおみくじを引く。中は見ないで捨てた

【No.709 未来保険】
未来保険に入ってからは、何事もすぐ諦めがつくようになった。夢や希望、才能といったものを積み立てていく。将来に挫けたときは『普通に生きていける日々』が保証される。自分一人の明日を失ったって、きっと誰かが理想を受け継いでくれる。未来を守るために入った保険で未来が廃れていった

【No.710 アレ外し機】
露天商が佇んでいた。暗視ゴーグルを掲げて「これを装着しながら見るとアレが外れますよ」とニタニタ笑う。まさか、いかがわしい作品のモザイクか? 期待に胸を膨らませながら露天商が用意したパソコンを開くと、有名なミステリーアニメが流れる。全身黒タイツの人物の姿が徐々に薄れていった

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652