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140字小説 No.≠026‐030

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【No.≠026 少女魔法】
老人から「魔法少女になってほしい」と頼まれた。ボケてしまったのだろうと不憫に思い、適当に話を合わせると本当に魔法が使えるようになってしまった。「四十を過ぎた俺でも、魔法『少女』でいいんですか?」老人がニタっと笑う。「これからだよ」俺の体が少しずつ変化していくのを感じた

【No.≠027 優先の席】
満員電車に揺られて精神的に参ってしまう。優先席に座ると老人の舌打ちや、周囲の睨むような表情に心が軋んでいく。目に映る傷と、心に刻まれた痛みとでは、はたしてどちらが優先されるべきなのだろうか。耐え切れなくなってその場でうずくまった。ひそひそと声が聞こえる。「寝たふりだ」

【No.≠028 誘我灯】
地面に寝転がって誘蛾灯を仰ぐ。チカチカと明滅を繰り返す感覚に合わせて、羽虫達が音を立てて飛び回る。光が消えるのを合図に、羽虫が私のおでこに落ちる。それを掬って静かに口に含む。ゆっくりと噛むと、わずかな粘り気と苦みが広がる。私は救いを求めるように、次の誘蛾灯を探し始めた

【No.≠029 ガーネット】
『そちらは晴れていますか。あなたとの交換日記も、卒業旅行の写真も、全部燃えてしまいました。空からは火の粉が降りかかります。街は今日も炎に包まれています。この手紙もきっと、あなたの元へ届くころには燃えてしまうでしょう。それでも私は、あなたと生きたこの街で死にたいのです』

【No.≠030 からくり人形】
姉が「人形が動いた」と呟く。棚に飾られた人形を見るも当然動いてはいない。錯乱したのか私を避けるようになってしまった。前はあんなにも私と一緒に遊んでくれたのに。早く昔の姉に戻ってほしい。ある日、姉が知らない男性を招き入れて、私を指さしながら言った。「この人形が動くんです」

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改めまして、秋助です。主にnoteでは小説、脚本、ツイノベ、短歌、エッセイを記事にしています。同人音声やフリーゲームのシナリオ、オリジナル小説や脚本の執筆依頼はこちらでお願いします→https://profile.coconala.com/users/1646652