メモリアル・ZERO ~はじめに
今年もまたこの季節が来た。
8月は夏休みであり、お盆の時期だ(一部地域を除く)。
そして先の戦争を振り返る月でもある。
8月6日、広島原爆記念日。
8月9日、長崎原爆記念日。
8月15日、終戦記念日。
私事で恐縮だが、8月15日は私の誕生日でもある。
学校も会社も休みで、周囲に誕生日を忘れられるのは毎年のことだった。
まだ携帯などない頃の話だ。
そして「8.15」は終戦の日であると同時に、広島に原爆が投下された時刻でもある。
8月6日午前8時15分。
そしてその「8.15」に生まれた自分。
幼い頃の私が戦争というものに関心を持ったのは、その符合がきっかけだった。
私はいわゆる反戦家ではなく、日頃何か特別な活動をしている訳でもない。
ただ知ろうと思うのだ。
穏やかで優しい祖父が、戦争で人を殺さざるを得なかったこと。
少年が空に海に命を散らし、工場で兵器を作る少女が空襲で爆死していったこと。
国を戦争に引き込んだ、軍や政治家の愚策。マスコミの煽動。国民の妄信。
それらは決して過去のものではない。
『過ちは繰り返しませぬから』
その言葉を守るために、まず知ろうと思うのだ。
それが私の「平和の誓い」である。
日頃、政治や宗教に絡む話題は極力避けることにしているのだが、この時期だけはそのルールを外す。
昨年、一昨年と、かつての活動場所であったショートショートガーデン(以下SSG)で、身近な人の戦争体験談を中心とした作品を綴った。
だがSSGは文字数が400字以内という制限があり、なかなか思うところが書き切れなかった。
それゆえ今年新しく始めたnoteで、同様の記事を書こうと思う。
決して明るい話題ではなく、また過去作との重複であることを切にお許し頂きたい。
お読み下さった方に何がしかの想いが伝われば、この上なく嬉しく思う。
秋田柴子
≪ メモリアル 目次 ≫
ZERO・はじめに
① いま、ここにいる奇跡
② 戦争を知ってる子供たち
③ 手をたずさえて
番外・知らない
*「全部読むの、しんどいー!」という方は、ぜひ『③ 手をたずさえて』だけでも読んで頂けたら嬉しいです。元々はこのお話から始まったものなので。初出は2019年12月、SSGのプチコンテスト『節目』に応募したものです。
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