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#撃沈作品その3
今昔コロツケー奇譚 〈3998字〉第18回坊っちゃん文学賞撃沈作品③
表通りから離れた狭い路地の奥に、その小さな店はあった。
外の看板にはひとまずバーと謳ってあるが、入ってみれば壁中所狭しと品書きが貼ってある店内は、むしろ寿司屋のカウンターに近い。
ポテト・かぼちゃ・クリーム・さつまいも・カレーポテト・餅・チキンライス……
「ねえマスター。俺さ、この店通うようになってから、何だか元気になったみたいだ」
「ほう、そうですか」
客は若い男が一人いるだけだった。中年の