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Will-Can-Must

Will-Can-Mustは、リクルートが半期の目標管理をするために使っている考え方である。本人が実現したいこと(Will)、生かしたい強みや克服したい課題(Can)、業務目標や能力開発につながるミッション(Must)で構成されている。独立した3つの円の図がイメージしやすい。実際には、それぞれの円の大きさが違うし、重なっている部分も違う。それらは自然に変化していくし、意図的に変化させていくことになる。
思い(Will)と能力(Can)とミッション(Must)を半期ごとに整理してマネジャーとメンバーで振り返りを行う。リクルートでは、Will-Can-Mustのフレームワークを使うことで、時間の掛かる自己実現や能力開発と、短期的な組織貢献のバランスを探っていく。

Will-Can-Mustを重ねる図

例えば、バスケでイメージすると、バスケを始めたばかりの子がレイアップシュートが打てるようになりたいという思い(Wil)と、まだレイアップシュートの正しい形で打てない実力(Can)、始めたばかりだから、ひとまず練習に参加するというのが目標(Must)という感じ。この場合は、それぞれ円は小さいし、WillとCanとMustの重なりもほとんどな状態といえる。うまくなりたい気持ちはいっぱいなので、下図ではWillは大きく表現した。

バスケを始めたばかりのWil-Can-Mustの図

例えば、仕事でイメージすると、新入社員の入社直後であれば、ほとんど仕事を進める力はない(Can)やる気で満ちているだろうが同時に不安もありどうしたいかの(Will)を大きく持つのも難しい。その一方で、最初の1年目でもやるべきことはあるだろうから(Must)は小さくはない。そして、それぞれは、ほとんど重なっていないだろう。志望動機があったとするのでWillとMustが多少は重なっていると良い。
仕事を始めて数年が経つと、仕事の経験(Must)によって、仕事を進める能力(Can)が次第に大きくなっていろうだろう。そうなってくると、仕事に対して意思(Will)を持てるようになる。営業であれば売上目標を達成したいとか、組織のリーダーになりたいとか、こんなサービスを実現したいとか。
更に仕事に夢中に取り組めれば(Will)も(Can)も(Must)も大きくなり、重なりも大きくなっていくことになる。やるべき仕事はしっかり進められる場合は(Must)と(Can)の重なりは大きいが、仕事に(Will)を重ねることができない状態であると言える。趣味に没頭したり、今どきであれば副業などをすると良いのかもしれない。

Will-Can-Mustの変化

バスケでも仕事でも、個人としてWill-Can-Mustを意識しておくと、組織の役割を担いつつ、効果的に成長できるし、なりたい自分にも近づける。コーチやマネジャーであれば、選手やメンバーのWill-Can-Mustを意識して適切な目標設定や動機付けができるようなる。このフレームワークを理解して意識することはバスケでも仕事でも有効といえる。

Willは、Canを伸ばす原動力であり最も重要な視点と言える。一方で、人間にはWillに目をつぶりMustをこなすこともできる側面もあるし、そうせざるを得ない場合もある。選手や部下の動機づけや妥協点を探す意味で、Willの理解を深める必要がある。

Canは、成長そのものであり、Canが伸びれば役割や責任が増えていくので重要な視点である。選手や部下のCanを増やすためのアドバイスについても、考えなければいけないことは多い。逆に、これができれば名コーチであり、素晴らしい上司にもなれる。

Mustは、結果を出すために必要な要素である。しかし、全くできないことをMustに置くと頑張ろうと思えないため、Canとのバランスを考えて設計する必要がある。組織やチームとして成果を出すコーチやマネジャーはこの設計技術が高いのだと思う。

選手やメンバーのWill-Can-Mustを理解して、適切に設定したり、声掛けすることが、コーチやマネジャーにとって非常に重要なスキルだと思う。それぞれの詳細は、別の投稿で書こうと思う。

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