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社名入りトラックで中学生をナンパ

はい、見覚えある人、put your hands up!!!

そうです、これは土方のおいちゃんに囲まれ育った我が少年期について書いた・"土方界のプリンス" 第2話に登場したダメな人たちの1人です。

この記事、ダメな人たちのエピソードが物珍しかったのか意外とアクセスがよく、ここで一つ深掘りしてみようと思います。

と、その前に、"何そのエピソード?"って方用に↓に貼りますね。
*UPした後に思い出したことを (*) & ⇒ で追加してます。

< 親父の会社にいたダメな人たち >

① 材料の買い出しで現場で使いもしないシンナーを経費で買って(*律儀に領収書をもらってきてた)、仕事中に吸って使い物にならない人

② 3時の休憩に”みんなにコーヒーを”と現場監督から預かったお金でワンカップ(*を数本)を買って現場に戻ってこないガチのアル中
⇒ これ、この間書いた(元)伝説の神童→不死身のマッチャンのことです。

③ 荒すぎる運転で1000万はする新車の長距離トラックを "2台連続で!" 高速道路上で横転・炎上させちゃった人
⇒ その後、会社の保険料が上がり、後の経営悪化→倒産の遠因となった。

④ 社名の入ったトラックで仕事中に中学生をナンパして、変質者電話連絡網にフィーチャーされちゃう人
今回の主人公ですね。

⑤ 春先になるとどうしてもご開帳を我慢できない人

⑥ 〇察官の身で(*郵便局を)強盗してパクられた刑務所帰りの人

⑦ 山一抗争中某直系組長の家の改装に行き若い衆と仲良くなり、朱に交わればとシャブ中になった人


んで、"社名入りトラックで仕事中に中学生をナンパしちゃった人"に話を戻すと、"おいちゃんおいちゃん"と言ってますが、この人実は結構若いです。
自分が19でオーストラリアから帰って土方してた頃に30過ぎでした。

しかも、実は結構イケメン柴田恭兵に赤玉5個くらい食わせて、ほやーっと腑抜けにした感じでしたが、イケメンの部類には入っていたと思います。

(ちなみに、↑の①のエピソードも彼。)

名前がないのも書いてて困るので、仮に柴田赤兵→柴ちゃんとしましょう。

この柴ちゃんがどういう人だったかというと、簡単に(&失礼を承知で)言わせてもらうと、学生時代あまりにもいけてなく仲間に入れてもらえなかったけど、ヤンキーに憧れてた(そんな人いましたよね?休み時間に楽しそうにつるんでるヤンキーを柱の陰からじっと見てる人)、そしても三十路を越えた当時まだ現在進行形で憧れ続けていた残念な人

人は悪くないんですよ。
俺は好きでしたよ、この人。

けど、30過ぎて仕事中にシンナー買ってきて吸っちゃったりボロボロの型落ちスカイラインを工事用の赤の缶スプレーで徹夜で1人DIYツートン塗装してきたり、地元の暴走族のたまり場のちょっと離れたとこに車を止めて話しかけてくれるのを健気にずっと待ってた(暴走族っても10コ以上下の小僧ですからね)り、やっぱ、ちょっとというか、かなりズレてんすよねぇ…

で、田舎のナンパといえば車

自分が住んでた佐世保には、港のとこに 鯨瀬(くじらせ)埠頭 ってのがあって、当時そこが車のナンパスポットになってました。

そこには夜な夜なヤンキーから普通っぽいコまで集まって(田舎だからすることないんすねぇ…)、路肩に停まった女のコの車の横に野郎の車がずらりと並び、順番に話していき、話がまとまりゃ遊びにGO!って感じだったんですが、車からのナンパは街中でもない話じゃなかったように思います。

(今、鯨瀬の話書いてて、誰に頼まれた訳でもないのに兄弟分が勝手に私設検問所をやってた話や、北九ナンバーのかわいらしい軽に乗ったヤンキーに同級生が木刀で〆られた話ヤンキー vs. チーマーの決闘の話とか思い出しましたが、そこらへんは改めて書きます。)

ただ、そうはいっても、それは "中" の話で、 "中" ではありません。

佐世保の外れに位置する俺の地元は"町中"って呼んでもらえればいいほうで、下手したら"森の中""田んぼの中"。そんなとこで車からナンパ = ガチの気違い沙汰

それに、車っていっても柴ちゃんが乗っていたのは4トンの散水車

(散水車って知ってます?車の後ろに穴の開いたバー的なのがあって、そっから道路に水を撒くやつ。災害時とか水不足の時には水道に変わって水を運び、給水だってできちゃう結構役立つ縁の下の力持ち的なアレです。)

水を入れる貯水池と散水現場を1日ピストンし、もう1往復かなという昼下がりに1人歩くセーラー服の中学生を発見した柴ちゃん。

どこまでも伸びるブルースカイ、道路両脇の深緑の森に生える真っ白なルーズソックスに天啓を受けた柴ちゃん。条件反射でハザードランプを押し、半クラッチを駆使し女子中学生の歩みに散水車を合わせ、助手席側の窓を開け、半身を乗り出し、元気溌剌爽やかにお声かけ。

なんしよっとー?
遊び行かーん??

確かに、"遊び行かん?"っていうのは当時、車ナンパの第一声の定番でしたが、散水車でどこに遊びに行く!?そして、後ろのタンクでたぷたぷいってる水を待ってる現場の方々はどうする…?

てか、それ以前に、散水車って安めのベンツEクラスくらいの値段するし、ただ走るだけの乗用車に比べりゃ機能性、世の中への貢献度バツグンだけど、普通散水車でナンパする…??

ドキドキしながら回答を待つ柴ちゃん…

(一般常識からは考えられない大技を繰り出した柴ちゃんですが、本来は何もできない小心者。小中、そして秒速で中退した高校と友達もおらず、女子とも口をきけず、壁際、柱の陰でうじうじして青春が終わった人間です。)

後ろから忍び寄った4トントラックの窓からガイキチの笑みを浮かべる歯抜けオヤジに(これ書いて思い出したけど、柴ちゃんシンナーの吸いすぎか前歯がなかった)に一言

無理!
死ね!!!

いや、二言言ってすたすたと歩きだしました。

完全なる敗北…

しばらく茫然(いやいや、柴ちゃん、そもそも何期待してんの…?)と煙草を吸い、気を取り直し車を再スタートする柴ちゃん。

散水車には会社名だって大きく入ってるし、親父の会社のトラックは少なくとも近隣三県には他にない変わったメタリックカラーだったので、1回見れば、というか地元の人なら社名見なくとも、"あー、〇✕さんとこの車ね"(親父はいろんな意味で地域で有名だった)とわかるんで、声かけられた女のコは即母親にTEL

(しかも、ナンパされたのは妹の同級生…)

それが連絡網に乗り、回ってきた電話を受けたのはおかん。

うちの親父は3つ高校に行って、2つは喧嘩で退学(1つ目の高校をクビになった喧嘩は鎌とチェーンでやりあったそうで、初めて聞いた時は"えっ、何々!?甲賀 vs. 伊賀?百姓一揆?"と子どもながらに衝撃を受けたのを憶えています)、1つは中退の身で、そのコンプレックスからか、土建屋で成功してからは田舎の"power politics"が本当に好きでした。

(ちなみに、俺、元自民党青年部です。)

と、まぁ、そういう人なんで、子どもが通ってる間はPTA会長をやってて、おかんに電話が回ってきた時も現役で妹の中学のPTA会長

先生方も、先に電話が回ってきたお母さま方もみんなどこの会社かわかってますが、PTA会長の手前言うことはできません。なんで、"不審者情報なんですけどぉ、あのー、メタリック〇✕△の、そのー、なんていうとですかね、後ろにタンクば積んだトラックのごたっとが車ば停めて生徒ばナンパしよっようで、そのー…"非常に端切れが悪かったようです。

そう告げられた母きらが壁の白板を見ると、散水車のところにかかっている名札は柴ちゃんのもの。あー、やっぱあいつね…と納得。震える声でわかりましたとだけ答え、電話を置きました。

その後、現場を終え事務所に戻ってきた柴ちゃんは番頭さん(長女が妹の同級生=声かけられた女のコの同級生)から長時間の説教

と、今これ書いてて思い出したんだけど、柴ちゃん、ダイヤルQ2だかに事務所の電話から長時間かけ、ロシアだかどっかに繋がって10万近い請求がきて、すげー怒られてたな。

"土方界のプリンス"にも書いたけど、親父の会社どんな人間でもクビにすることはまずなかったから、柴ちゃんも数年働いて、最後はあまりのやらかしに気まずくなって自分で辞めたんだったな。

柴ちゃん、今どうしてるんだろう?
シンナーまだ吸ってんのかな。
頭の中こじらせてご開帳系になってないといいけど。

40を過ぎてここのところ急にガキの頃に囲まれて育った人たちに会いたくなりました。みんな元気でやってるといいけれど…



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