あきら みきと

漫画やイラスト、小説を描いてます/氷河期世代/福岡在住/カカオ取りすぎ dブック様、L…

あきら みきと

漫画やイラスト、小説を描いてます/氷河期世代/福岡在住/カカオ取りすぎ dブック様、LINEマンガ様にて「逆転無双の復讐者」連載(完結)ネーム担当 #晃幹人 #アキラミキト #AKIRAMIKITO #イラストレーター #漫画家 #ネームライター #シナリオライター

記事一覧

【短編小説】成人の扉

18. 成人 「斉藤、お前はどれにする?」 「あ、うん、僕も同じのにしようかな…」 「じゃ、おっちゃん、”マグマ”2つね!」 「まいど!」 僕と同級生の友人は注文…

【短編小説】聞き役

「もう! どうして鳴らないのこれ?」 晴れ渡る空の下、都会を離れ、爽やかな田舎道を走らせる車の中で、妻の憤る声が響く 「もう!」 車のダッシュボードに埋め込まれ…

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【短編小説】転校生は未来人

小学3年生の二学期の途中、1人の女の子が転校して来た 親が転勤族なのだと先生が言う 彼女は自分が未来から来た”未来人”だと言い、あまりクラスには馴染めない様子だ…

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【短編小説】砂の少女〜失われた世界〜

ザザー… その砂浜では、何年、何十年、何百年も、ただ波の音しか聞こえてこない ある日、波は崖や岩にぶつかりながら、偶然浜辺に人のような形を作った まだ湿ったその…

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おはようございます
ネームライターとして担当しているwebtoon連載漫画「逆転無双の復讐者」が本日公開されました🙏

https://app-manga.line.me/app/periodic/S138869?_appstore=0

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【短編小説】日の出と共にー高校時代に書いた小説

日の出と共に  一万年前……それを時のくぎりとして悪魔と呼ばれる男が深い眠りから目をさます。 その男が眠っていたこの地には再び生物が芽生え、人類という進化した生…

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年が明け、いつも通りに太陽が登り、新しく令和六年の扉が開きました
皆様お正月はどのようにお過ごしでしょうか
どうか皆様にとってより良い一年でありますように
今年もよろしくお願いいたします

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【短編小説】クリスマスプレゼント

「メリークリスマス!」 乾杯して盛り上がる自分と同じ世代の若者たち センスのいいイルミネーションで装飾されたオシャレなバーの大きな窓からは温かいオレンジ色の光が…

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【短編小説】お昼休み

ドスン! 午前中で疲れた体を勢いよく椅子の上へ持たれかけると 4本の脚がキィと悲鳴を上げる 眩しい昼間の太陽が 社員食堂のいくつかの窓から降り注ぎ 机に光と影の境界…

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【短編小説】ムダな時間

あらすじ 本編 フラれた… この3ヶ月はいったい何だったんだ… そして僕は、今夜もまたコイツと一緒にファミレスで貴重な人生の時間を浪費している… 異性の友人、橘音…

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【短編小説】おはよう!

あらすじ 本編 小学生の頃からの親友と喧嘩した 口をきいてくれなくなった 原因はわかっている きっかけは先日の野球観戦だ その日は「ガープVSバンシン」の試合があ…

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映画「空白」について考えてみた

はじめに 映画「空白」、とても考えさせられる私好みの映画でした 登場人物一人ひとりの背景が重厚でリアリティがあり、見逃してもいいような”空白”など、どこにも見…

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【読み切り小説】営業マンパパ、子連れ同行する(下)

こちらの作品は前後編の構成となっております 前編は以下よりお読み頂けます あらすじ 本編 おてあらい 「す、すみません! トイレをお借りしてよいでしょうか!」 …

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【読み切り小説】営業マンパパ、子連れ同行する(上)

あらすじ 本編 あさごはん 「反抗期か? 最近の子どもは早いな」 小学生の一人息子が、ある日突然、不登校になった いつからか仲の良かったはずの母親とも話をしな…

ショート動画「Fishermen」について考えてみた

はじめに 冒頭のメッセージについて 「どういうことだろう? 何が言いたいんだろう?」 が最初の感想でした でも、いくつも引っかかる点がありました どうやらそれ…

【短編小説】編集者

あらすじ 本編 「また”異世界”ですか?」 「大丈夫、”おまじない”みたいなもん、ですよ」 「ですよね」 今、マンガ業界では”異世界もの”が溢れている 何でも”…

【短編小説】成人の扉

18. 成人 「斉藤、お前はどれにする?」 「あ、うん、僕も同じのにしようかな…」 「じゃ、おっちゃん、”マグマ”2つね!」 「まいど!」 僕と同級生の友人は注文後そのキッチンカーの前で待っていた 特に話すことも無く、明日の天気などの話をして白けた時間を虚しさで埋める しばらくすると店員が真っ赤な具材が入ったタコスを手渡してくれた 僕の中身のない話を遮り、友人はそれを興奮気味に受け取った 辛いものが苦手な僕にとってこの800円はドブに捨てたようなものだ それでも、こ

【短編小説】聞き役

「もう! どうして鳴らないのこれ?」 晴れ渡る空の下、都会を離れ、爽やかな田舎道を走らせる車の中で、妻の憤る声が響く 「もう!」 車のダッシュボードに埋め込まれたオーディオ機器を叩く音がする 妻は実に感情的になりやすい性格でかつ機械音痴だった 「Bluetooth接続がうまく行っていないんじゃないかな、一旦再起動してみて」 「え? そういうこと? …これでいい?」 いつも会話の主導権は妻にあるが、 機械周りのことについては僕の言葉に渋々従う 「あ、繋がらないと言えば

【短編小説】転校生は未来人

小学3年生の二学期の途中、1人の女の子が転校して来た 親が転勤族なのだと先生が言う 彼女は自分が未来から来た”未来人”だと言い、あまりクラスには馴染めない様子だった もちろん僕もそんなことは信じられなかった そんな彼女と僕は家が近いという理由で下校を伴にする機会が多かった 大好きな絵の話をしたり、それを見せたりすると彼女はとても喜んだ だから僕も彼女の話をきちんと聞こうと思った それから彼女の言葉をよく聞いて、きちんと調べてみると、 実はいくつか彼女の”予言”が当たって

【短編小説】砂の少女〜失われた世界〜

ザザー… その砂浜では、何年、何十年、何百年も、ただ波の音しか聞こえてこない ある日、波は崖や岩にぶつかりながら、偶然浜辺に人のような形を作った まだ湿ったその砂の塊は、ポコポコと小さな空気を出して息づき しばらくすると、大きく盛り上がって、二本足で立つ幼い”砂の少女”となった 砂の少女はただ一人、何もない浜辺で何年も過ごした 少女はあくまでも砂であり、浜辺は自分の居場所だった ここから出ることはできないし、自分を維持するためには 海水を使って適度に湿った状態を保たな

おはようございます ネームライターとして担当しているwebtoon連載漫画「逆転無双の復讐者」が本日公開されました🙏 https://app-manga.line.me/app/periodic/S138869?_appstore=0

【短編小説】日の出と共にー高校時代に書いた小説

日の出と共に  一万年前……それを時のくぎりとして悪魔と呼ばれる男が深い眠りから目をさます。 その男が眠っていたこの地には再び生物が芽生え、人類という進化した生物が現れていた。 春……この季節に男はその持った力で、自分をとりまいている闇を破った。  真っ昼間だ。しかし、雨が降っていてやや暗い。おまけにここは山の林の中でさらに暗かった。そんな中、雨やどりをしようと大木の下にかけ込んだ若者の姿があった。 「いやー、まいったな、ベチョベチョだぜ。」若者の名はディーン

年が明け、いつも通りに太陽が登り、新しく令和六年の扉が開きました 皆様お正月はどのようにお過ごしでしょうか どうか皆様にとってより良い一年でありますように 今年もよろしくお願いいたします

【短編小説】クリスマスプレゼント

「メリークリスマス!」 乾杯して盛り上がる自分と同じ世代の若者たち センスのいいイルミネーションで装飾されたオシャレなバーの大きな窓からは温かいオレンジ色の光が漏れ、笑い声や賑やかな音楽が溢れ出していた 1年前の自分ならあのグループの中にいてもおかしくなかっただろう でも、今年の俺は真逆だ 人々が浮かれ気分で酔いしれるのがあたり前とされているこの日に、俺は身も心も凍えそうになっていた 窓の中のテーブルに並ぶ、乱暴に食い散らかされた食べ物でさえ今の俺には似合わないだろ

【短編小説】お昼休み

ドスン! 午前中で疲れた体を勢いよく椅子の上へ持たれかけると 4本の脚がキィと悲鳴を上げる 眩しい昼間の太陽が 社員食堂のいくつかの窓から降り注ぎ 机に光と影の境界線を作っていた 日陰の席でスマホを取り出し イヤホンでお気に入りの歌手のライブを聴きながら 少し遅いランチタイムを過ごす そして、いつものように投稿サイトで自分の作品の評判を確認する 才能がない 誰にも認めてもらえない 生きているだけで精一杯… 「あはははは!」 「マジありえないって!」 「ウケる!」

【短編小説】ムダな時間

あらすじ 本編 フラれた… この3ヶ月はいったい何だったんだ… そして僕は、今夜もまたコイツと一緒にファミレスで貴重な人生の時間を浪費している… 異性の友人、橘音子とは同じ大学で、お互い暇な時にこうして会っていたが、男女の関係ではない 「なんで?」 音子は目線をハンバーグを切る手元から離すことなく軽い相槌を打った 大食いの音子はテーブルいっぱいの料理に夢中だ きっと僕の話などBGM程度なんだろう 「たぶん僕が悪いんだ…優柔不断でいつもヘラヘラしていて優しいだけの

【短編小説】おはよう!

あらすじ 本編 小学生の頃からの親友と喧嘩した 口をきいてくれなくなった 原因はわかっている きっかけは先日の野球観戦だ その日は「ガープVSバンシン」の試合があった 結果はバンシンが勝利した 私がガープファンで、親友がバンシンファン 私はチームが負けたことで悔しさのあまりつい言ってしまった 「もう、絶交!」と 決して本心ではなかった 翌朝、ぐっすり寝た私は昨日のことなどすっかり忘れて いつものように高校へ行き いつものように親友の背中を見つけて声を

映画「空白」について考えてみた

はじめに 映画「空白」、とても考えさせられる私好みの映画でした 登場人物一人ひとりの背景が重厚でリアリティがあり、見逃してもいいような”空白”など、どこにも見当たりませんでした 観ている間、まるで”現場”を目撃しているように、中へ中へと引き込まれていきます 感じるのも、考えるのも、視聴者であるこちら側に託されていると感じられ、視聴後はしばらく脳を占拠されてしまった程です この記事は、私が感じ、持て余したメッセージのカケラを寄り集め、なんとか言語化しながら“折り合い“

【読み切り小説】営業マンパパ、子連れ同行する(下)

こちらの作品は前後編の構成となっております 前編は以下よりお読み頂けます あらすじ 本編 おてあらい 「す、すみません! トイレをお借りしてよいでしょうか!」 すっかり落ち着きを無くした私は、裏返った声で唐突に店主へ退席の許可を求める 「あ? ああ…」 店主の承諾の声を聴き終えない内に私は駆け出していた (いい大人が、しかも商談中に…最悪だ…) 店主から見えないところまで行ったところで、息子を抱え、急いでトイレへと駆け込む 息子は気持ちよさそうに陶器の

【読み切り小説】営業マンパパ、子連れ同行する(上)

あらすじ 本編 あさごはん 「反抗期か? 最近の子どもは早いな」 小学生の一人息子が、ある日突然、不登校になった いつからか仲の良かったはずの母親とも話をしなくなっていたため、その理由もわからないという 朝から早くも感情的になっている妻が誰にともなく (おそらく私だとは思うのだが…) 愚痴なのか相談なのかわからない内容の会話を 動画の2倍速再生のような速さで投げ飛ばしている 既に彼女の声を受け止めることができなくなった私の脳は 彼女専用の受容回路を遮断し、”

ショート動画「Fishermen」について考えてみた

はじめに 冒頭のメッセージについて 「どういうことだろう? 何が言いたいんだろう?」 が最初の感想でした でも、いくつも引っかかる点がありました どうやらそれを紐解くことである程度、理解を進められそうです そこで必要な情報を調べながら、感想を綴っていこうと思います まずは、この動画内冒頭の文章の部分から これは「聖書」のことばを引用しているようです この物語のテーマがここに隠されていそうですね ロボット 冒頭からたくさんのロボットが兵隊のように規則正し

【短編小説】編集者

あらすじ 本編 「また”異世界”ですか?」 「大丈夫、”おまじない”みたいなもん、ですよ」 「ですよね」 今、マンガ業界では”異世界もの”が溢れている 何でも”異世界”であることを前提にした方が売れるらしい 特に”Webtoon”と呼ばれる、いわゆるスマホで読みやすい”縦読みマンガ”の中に多く見られ、売上もかなり良いということだ この出版不況の中にあっても、こと”マンガ”に限っては市場規模が拡大し続けており、これがWebtoonの登場によるものだとも言われている