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『ミカエル』カール・テオドア・ドライヤー監督

昨日渋谷のシアター・イメージフォーラムにてカール・テオドア・ドライヤーセレクションVol.2を観てきました。そしてイメフォの会員に入りました。

今回の特集での日本版のポスターがとても美しく、やっと見れて嬉しかったです。
はじめは『ミカエル』を観ました。

画家の先生ゾレと養子同然の弟子のミカエル、二人はゾレの豪邸に一緒に住み、二人の関係は親密で良好だった。

先生のゾレが弟子のミカエルをモデルに描いた絵が絶賛され、先生は画家として不動の名声を手に入れた。
あるときザミコフ侯爵夫人が先生に自分の肖像画を描いてほしいと依頼に来る。それを普段は受け付けていないが、せっかく来ていただいたのだからと引き受ける。ザミコフ侯爵夫人はどうやら金銭面が厳しい状態らしい。そんな伯爵夫人が肖像画を依頼に来た真の目的は……。

ここから内容にかなり触れています。

先生はザミコフ侯爵夫人の目がどうしても描けないという。作品にとって人物の目は作品を決める要となる。夫人の目が描けなかったのは、夫人が純粋に絵を依頼しに来たのではないからと思った。

ミカエルが夫人の目を描き、ミカエルとザミコフ侯爵夫人は恋に落ちる。

先生には田舎で絵を描いていると言いながら実は夫人と一緒にいる。先生のそばにいることが少なくなる。ゾレの友人が真実を伝えるもゾレは聞きいれない。嘘をついていることを知りながらミカエルを責めず、追及もせず、むしろミカエルを庇う。先生のイタリアングラスを勝手に恋人のために持ち出し、遂には先生から譲り受けた先生の一番の作品、自分がモデルとなった『勝利者』を売りに出してしまう。

ゾレは新作に打ち込む。完成された作品はすべてを失った自らを描いたものだった。今のゾレのすべてが注ぎ込まれていた。大勢の人がゾレの家に集まり、お祝いをする。ゾレの孤独を見事に表しているシーンだった。どんなにたくさんの人に賛辞を贈られても、地位や名誉や富があっても、一番大事な愛するミカエルがいない。

『勝利者』の絵はまさしくゾレのことだっただろう。既に画家として名高く、豪邸に住み、さらに愛する者(ミカエル)を手に入れた、まさに「勝利者」

ここまで最低最悪なミカエルに観ている私は耐え切れずにいたが、最期を迎えるゾレの言葉でそれらの感情はすべて打ち消された。





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