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昭和の心得

昨日は、歯の定期検診
伯父のクリニックです

俺、歯磨きがダメなようで
伯父に注意こそされないですが
定期的に来るよう勧められてます

この歳になって、心底分かるのですが
歯が命、というのは真実です

時間がないからではなく
時間を作って
若いうちから定期的に
チェックした方がいいです

おかげさまで
今、人生で1番、歯が調子いいです

個人さあると思いますが
俺は重症患者だったのですが
やっと1ヶ月に1回で落ち着いてます

このクリニックは、歯科衛生士が3人
ローテーションを組んでいるので
今回担当してくれた衛生士さんは
前回のクリーニングを
担当してくれた人と違う人でした

皆から驚かれるのですが
俺は痛みに強い方、らしいです

痛みとは自覚するものなので
他人と比べることができないものなのに

そのうえで、まわりが驚くところをみると
そうとう鈍感か我慢強いかの
どちらかなのでしょう

そんな俺は、まわりに言いませんが
歯のクリーニングが苦手です
特に上顎の前歯に研磨ドリルを当てられると
地面に埋まってしまいそうになる
つんざく痛みに意識を失いそうになるのです

今回、担当してくれた衛生士さんは
なかなか大胆な方で
何度も、ひゃおッ!と叫びそうになりました

痛み、ありますか?

衛生士さんは
痛み刺激で勝手に動く舌の動きを察したのか
優しく声がけしてくれました

が、やはり、そこは俺です

はい、ぜんぜん痛くないです

きぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
再びドリルの甲高い音
衛生士さんは迷うことなく
俺の歯周ポケットにドリルを押し込んできたのでした

うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあああああ
すっごく痛ぁぁぁぁぁい

そもそも

痛いと訴えたとして
何か策があるのだろうか

そんなことを
意識の片隅に浮かばせながら
俺はつんざくような痛みに耐え続けるしかないのでした

そのつんざくような痛みを耐えた後は
ミントと塩の味がするブラッシングです

ゴリゴリゴリゴリ、ゴリゴリゴリゴリ
見たことがないので
どんなものを歯に当ててるのか知りませんが
このブラッシングとやらは大好きです

脳底に響く鈍い振動が
何とも気持ちいい

衛生士さん、前歯のゴリゴリ
もっともっと、やってください

ゴリゴリゴリゴリ、ゴリゴリゴリゴリ

ひとしきり
クリーニングが終わると
衛生士さんが6番診てください
と歯科医に話しているではないですか

あ、奥歯虫歯になってるから
詰めちゃうかな

俺の口の中を伯父がじろじろ見つめ
歯科医が8番を治療すると言う

6番じゃなくてですか?
衛生士が言う

うん、8番だね
歯科医がしっかり返事する

こうして、俺の奥歯8番の虫歯は
早い段階で治療できたのでした

伯父ちゃん、6番、大丈夫なんだよね?
とは、言いません

歯科医は、目との闘い、とよく聞きます
スコープみたいなのつけてる歯科医いますよね
あれは、老眼との闘いの末なんだそうです

麻酔の後
きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~
歯科医のドリルが俺の虫歯と激闘を繰り広げます

ひゃあああああああああああ
あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ
め、めちゃくちゃ痛いぃぃぃ
これ麻酔、効いてんのぉぉぉ

魂の叫びが、通じたのでしょうか

伯父はドリルを止めて
痛くない?
と声をかけてきました

そうなれば、やはりこうです

はあい、ずぇんせん、痛うないです

口開けたままで発音が変なのか
麻酔で変なのか分からないですが
しっかり平然を装います

おーけぇ、じゃちゃっちゃと治しちゃお
伯父は、ドリルをきぃぃぃぃぃと
勢いよく当ててきました

ひゃあああああああああああ
あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁ
め、めちゃくちゃ痛いぃぃぃ

そうか

俺は痛みに対して鈍感ではなくて
ただ単に我慢強いだけなんだ、と
改めて知ったのでした

忍耐で平然を装うのが、俺の歯医者の心得
いや、人生全般、忍耐

ゴリゴリの昭和人生が
悲しくなりました


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