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Withコロナ時代に2021年新卒の方が心がけること(後編)

・想定する読者
2020新卒の方及び新卒社員と関わる指導員の方々
・本記事を読むメリット
2020新卒を取り巻くマクロ環境を理解できます。また、新卒社員が会社から何を期待されているのか理解できます。最後に新卒社員が身につけるべき基本姿勢を学べます。

前回の記事はコチラ。今回は前回の記事を踏まえて、仕事に取り組む基本姿勢8つをお話できればと思います。この8つを1年間掛けて習得すればそれだけで市場価値は非常に高いと思います。8つできるビジネスマンは体感値3%もいないのではないでしょうか。

8つの基本姿勢

私の体感値的に、番号が増えるごとに習得難易度が難しいと思っております

①コミュニケーションの型を叩き込む。

①-1 報告、連絡、相談(ほうれんそう)をする。これが多分一番簡単で意識すれば誰で出来ます。まず、最初はマイチに行った仕事を日報なりなんなりで報告を行うかと思います。また、最初は仕事をするにあたって定型の仕事(=極力何か判断しなければならないことが無い仕事)が多いかと思いますが、途中で非定型な仕事も行うかと思います。判断する基準がわからない場合は上司に連絡をして、「私は◯◯の点が判断基準で、今回の場合は△△なので□□のような判断が良いと思いますが、どうでしょうか」という相談ができればGOODです。

①-2 事実と解釈を分ける。言葉遣い1つ1つ考えて使う癖付けをする必要があります。「忙しい」と「予定が詰まっている」は似て非なる表現です。前者は個人の解釈や感情であって、後者は事実です。何かを報告する時は必ず、「◯◯という事実がありました。さらに△△という事実もありました。そして、□□という事実もありました。この結果から共通項を抽出すると私はこう考えます。」と表現すると正しい事実と解釈の切り分けができます。これ新卒社員どころかベテランの方でも出来ていない方もいます。早い内に習得しましょう。

①-3 相手の時間を頂戴するという感覚。コミュニケーションを誰かとする際、一緒に働く社員は皆それぞれの部署で営業利益を上げるべく仕事をしております。そこに割って入って、質問をするであったり研修をしてもらう営業同行に付き添ってもらうなど、相手が自分に時間を割くということは、短期的に相手の営業利益を生む機会を損失させていることと同義だということです。これは役職が上に行けば行くほど顕著です。その認識をまずは持つこと。私も役職関係無くMTGを設定していない際に誰かに声をかける時は「今、◯分時間いいですか?」と聞きます。この一言でどんな根本思想の方かわかります。

①-4 結論→理由→具体例→結論という話し方。超基本なのですが、結構出来ていない方がこれも多いので、一度自分が何気ない会話の時にどんな会話の仕方をしているかボイス録音してみてください。その結果、具体例→具体例→具体例→終わり。みたいな何の意味も無いコミュニケーションが多かったら凹んでください。まず、就業時間中はこの「結論→理由→具体例→結論」の喋り方に制限するくらいのルールを作って仕事をしてみてください。そのうち無意識に出来るようになります。無意識に出来るようになれば、あえてコミュニケーションの最初を具体例から入っても良いです。というのも、プレゼンなどのシチュエーションで唐突に具体例から入ることで聴衆の関心を引き寄せるなどのテクニックがあるからです。また、ずーっと結論→理由→具体例→結論というコミュニケーションだと堅苦しいので、アイスブレイク的な意味でも具体例から入ってもいいです。ベストなコミュニケーションは結論だけでコミュニケーションできることです。それはコミュニケーションする人との信頼関係が無いとできません。上司から見て部下の考えていること、それを実行するスピードどれをとっても問題無ければ、結論だけのコミュニケーションで済みます。しかし、上司から見て部下の考えていることがわからず、実行するスピードも遅く、関係各所から日頃クレームが来ている場合結論だけでのコミュニケーションでは済みません。結論→理由→具体例の後に具体的な行動計画と報告・連絡・相談を入れるように指示されるかもしれません。まず、基本のコミュニケーションの型を徹底しましょう。

①-5 質問する時は「私はこう考えているのですが、どう思いますか?」と聞く。質問を誰かにするということは、前述した通り、誰かの時間を奪うことと同義です。可能であれば、相手に気づきや学びを提供できる質問をすることで建設的な議論がしたいですよね。そうしたときに有用なのコミュニケーションがこちらです。自分の意見を踏まえた上で、意見を聞くことで相手も学びが得られる可能性がありますし、意見のクオリティで「ここまでのリテラシーはこの新卒はあるな」と悟らせることが出来ます。そうすることで、より本質的なコミュニケーションまで一気にジャンプできます。

①-6 判断基準を持ち合わせていない中、判断をしない。わからないことは素直に聞くことをおすすめします。仮に自分はわかっていると思っていても実務経験を積んでいない場合、往々にして想定もしなかった落とし穴にはまることがあります。それが「経験」です。ですので、新卒社員の方で「今からやる業務においていくら準備をしても、想定しなかった落とし穴にはまる可能性がある」ことがわかっていれば「私はこう考えているのですが、◯◯さんが同様の業務を行うとしたら、どの部分をケアしますか」という質問が出来ます。このような質問をされると、質問された側は安心して仕事を任せられます。


②会社は学校ではない。

学校はお金を払って、その対価として学ぶ機会の提供を受けていました。一方、会社から給与を頂戴する、その対価として会社に営業利益をもたらす活動を返す必要がある。毎月、研修しか受けていないのに銀行口座に給与が入金されることに新卒の方は疑問を持ちつつ、それが我々への期待値であって先行投資であると捉えること。そのありがたさを認識した上で仕事をすればアウトプットのクオリティも変わるのではと思います。そのような捉え方ではなく「他の友人は初任給◯◯円で俺は少ない」とかいう人はその物事の捉え方を正す必要があるかもしれません。そもそも、何も付加価値を生んでいない、むしろ負債状態にも関わらず、ある一定の生活ができる給与をもらえているのであれば「ありがとう」ということが正常だと思います。自分が付加価値を生み出し営業利益に明確に貢献できるようになったにも関わらず、給与に不満があるのであれば、それは自分の成果を定量化して上司と交渉しましょう。しかし、そのような交渉フェーズは最短でも2-3年後ではないでしょうか。


③準備こそ全て。

大体の仕事の成果は準備でほとんど決まります。例えば私が新卒の時にやったことは、自分が行きたい配属先に行くための理由づくりです。行きたい配属先の社員の方々に他の部署と比較してどのような業務上の特徴があるか、それを踏まえてどのような新卒の配属を求めるかをヒアリングしました。その求める人物像を自分が満たす根拠を延々つらつら書いて人事に提出した記憶があります。案の定、配属先は行きたかったところになりました。その配属先は新卒の中でも人気の部署でしたので、行けなかった新卒も何人かいましたが、その方と比較しても明らかに私の準備は徹底していたと思います。準備が徹底されているということは、コミュニケーション相手からすると「こいつに任せると話が楽で早いな」であったり「こいつに任せると知識が凄いから良い提案してくれそうだな」と相手もポジティブに深読みしてくれます。とりこし苦労が多いこともあり、パワーがかかりますが、その分効果は絶大です。準備の98%は報われないかもしれませんが、残り2%で決定的な仕事ができることも沢山あります。


④楽しい仕事なんて存在しない。楽しいと捉えられる解釈力があればどんな仕事も楽しめる。

そもそも、仕事は誰かのやりたくないことを代行することです。何故、そう言い切れるかというと、例えば読者の皆さんが「車がほしい」と思った時にどうしますか?マレーシアに飛行機で行って、タイヤの原材料であるゴムを作るためのパーム油が出る樹木を収穫しに行きますか?エンジンを着火するためのスパークプラグの原料であるセラミックを作るためにセラミックの原料調達に向かいますか?向かいませんよね。それは面倒だからです。その面倒をトヨタやホンダが代行しているから購入するに過ぎないのです。

ですので、仕事は必ず誰かのやりたくないことです。仕事の成り立ちが「誰かのやりたくないこと」なので、ストレートに考えるというか直感的に捉えると「仕事は楽しいものではない」となってしまいます。しかし、世の中には楽しそうに仕事をしている人もいます。その差は何かというと「目の前の仕事を楽しめる解釈力があるかどうか」です。例えば、毎回同じような仕事が来たとしても昨日は◯分掛かった仕事をそもそもの業務プロセスを変えることで△分に改善できた。残りの時間は自分へのご褒美に自学自習の投資に当てようとか。このようなゲーム要素を入れることで解釈の幅が広がることもあるかと思います。それ以外にも解釈の幅は無限にあるので、仕事をするにあたってどうしても目の前の仕事の意味・意義を捉えられない場合は上司に「私はこの仕事を◯◯や△△のような解釈で捉えようとしましたが、いまいちピンときてません。もし、□□さんであればこの仕事をどう解釈して目標設定して取り組みますか」と聞いてみると楽しみ方のヒントが見つかるかも知れません。ですので、大前提として与えられた仕事に100%の情熱を注げない(成果を出せとは言っていない)人間には、以降作業しか与えないことになります。与えられた仕事に100%の情熱を注ぎ、その仕事の意味を考えている方には上司も出来るだけチャンスを与えるのではないでしょうか。


⑤1次情報と2次情報のバランス

1次情報とは自分で現場に行き肌で体験したことを通じて、感じること。人から聞いたこと等を鵜呑みにせず、違法或いは明らかに道徳から外れているようなこと以外は率先して体験する。そして、感じたことをどう捉えて、立場を変えながら様々な意味合いを抽出する態度。一方で1次情報が特異点であると、意味合いの抽出が偏るため、体験する対象を取り巻くマクロな環境や統計データ、各世代間での特徴等は大まかに抑える必要がある。2次情報で大凡の当たりや全体感を俯瞰したうえで、1次情報を拾いに行き体験してみる。そうすることで2次情報と1次情報の関連している部分、関連していない部分に場合分けができ、後者が何故起きているのかを深堀りするために、他の1次情報となる別体験を通じて様々な1次情報のn数が増える。そうすることで1次情報と2次情報を行き来することでその情報間の普遍性を見出すことができる。

例え話として恋愛を取り入れた。「僕は愛を証明しようと思う」という書籍をご存知でしょうか?要はスペックで完全敗北している男性が女性を落としに行く戦略をパターン化した本だw ご存知であれば読んだ人のうち、どれだけが実行に移したでしょうか?それが1次情報と2次情報のバランスに通ずるかと思います。ちなみに私は独身時代「僕は愛を証明しようと思う」を読む→現場でテストする→現場でテストする→体験をグループ化、抽象化、類型化することである一定の勝ち筋を見出した経験があるw 話が長くなるので割愛しますがこのように1次情報と2次情報のバランスをとり行動し、パターン化、類型化、抽象化を経て普遍性を見つけることは非常にマーケターにとって大切です。


⑥Q&AではなくP&S

皆さんが小学校~大学まで受けてきた教育のほとんどが答え(Question)つまり、正解があるものに対していかに早く回答(Answer)するか、それをいかにミス無く大量処理するかという教育を受けてきたかと思います。まさにセンター試験、TOEIC、公認会計士試験など資格になっているもの全てが基本的にはQ&Aの類です。ただし、これら全ては機械に置き換わっており、未だ置き換わってないものに関しても機械学習により代替されます。このようなQ&Aはコモディティ化してグローバルで最低賃金に収斂します。そうでなかく、誰も解決したことの無い問題(Problem)を定義して、それらをあらゆるリソースを使って解決(Solving)するP&Sスキルは機械が苦手で代替されません。まず、機械学習の適応範囲は単一の労働集約業務にのみ適応可能であって、まして機会には意味の理解という概念がありません。そこに意味や意思を介在させて問題や課題を設定させることは人間しかできません。ですので、文部科学省が今まで優秀と定めてきたQ&A人材ではなくP&Sができる問題解決思考型の人材を目指してみてください。


⑦相手の立場に立って考える(メタ認知)

社長の立場、株主の立場、上司の立場、同僚の立場等様々な立場に幽体離脱して「もし、自分が相手の立場だったらどう考えるか?どうしてほしいか?」を考えるスタンスです。抽象化すると、全体として何が起きているか、個々の事象を超えたパターンや特徴に注目し、共通化・パターン認知して、意味合いを抽出することです。これを雰囲気や空気を読むとも言います。これメッチャクチャ重要。似た表現で「利害関係」や「ビジネスモデル」があります。つまり、相手はどんな思惑や利害で動くのか?その力学を捉えることです。それは相手が所属する組織と本人のパーソナリティである程度決まります。所属する組織が合理性=利益あがるのか上がらないのか?で決める企業で且つその担当もゴリゴリの理系脳であれば、提案する内容や喋り方は合理性重視で結論→理由→具体例みたいなコミュニケーションスタイルで成果をいかに出せるかを論点としたコミュニケーションになるでしょう。一方、それとは対局で古きよき大企業のおっちゃんを口説き落としたい時にゴリゴリロジックをいきなり持ち出すと先方からすると付き合いたくないと思われるかもしれません。ですので、もしかするとコミュニケーションの方法としては「とりあえず飲みに行く」とかかもしれません。愛嬌というやつですね。自分が理系脳であろうと文系脳であろうと、飲みニケーションが好きであろうと嫌いであろうと関係なく、相手の立場に立ってどうしたら心地よく感じてくれるか。どうしたらこちらの提案を土台に上げてくれるかを考えること。思いを馳せることはとても重要ですが、できる人はほんの一握りです。


⑧成果主義とリーダーシップ

この基本姿勢は元マッキンゼー・アンド・カンパニーで人事MGRを務めた伊賀泰代さんが著書「採用基準」で記載したもので、非常に共感が出来たため、それ以来、私も仕事の行動指針として使わせていただいております。得てして日本企業は和を尊ぶことを尊重し、本来企業が追求すべき売上や営業利益をないがしろというか考えないことが往々にしてあるのではないでしょうか?この成果主義とリーダーシップとは、リーダーたるもの組織の最も重要な指標をプロセスや行動量などに置くのではなく成果に起き、成果を出すために執着する人のことです。ですので、このスタンスを持ち合わせている方のみで組織が構成されていれば役職の上下はあれど全員がリーダーです。逆に役職は高くても組織の最も重要な指標をプロセスに追いたり、何もおかずになんとなく適当にみたいな人はリーダーでもなんでも無く、ただの雑用係です。

成果の定義は企業の置かれている局面によりますがわかりやすい指標で言えば営業利益や生産性です。この組織の一人あたり営業利益をここまで上げるためにどうすべきか?であったり、現状の生産性=投入資源から発生した成果(分子)/投入資源(分母)を上げるために投入資源を減らしても、成果が変わらないプロセスの組み換えを行うであったり、投入資源は同じだが、そこから生まれる成果の総量を上げる工夫をするなどです。

この成果を達成するために目標を設定し、先人を切って走り、決断し、周りを巻き込み成果を出す人間をリーダーと呼びます。役職名がリーダーではありません。ですので、リーダーには誰でもなろうと思えばなれますが、こと日本においてリーダーはとても少なく希少価値が高いです。


まとめ

新卒の方は自分の上司や仕事を選ぶことがほぼできません。また、入社して半年程度は学生と社会人との違い(=お金を払ってサービスを提供してもらう側からサービスを提供することでその対価としてお金を頂戴する立場の違い)にストレスを感じる方も多くいるかと思います。社会人生活は長いので、最初だけ短期的に頑張ってもたかがしれてますし、会社の所謂、新人賞みたいなものを取れても、その称号が市場価値と相関するかは微妙です。ですので、仕事も上司もコントロールは出来ないけど、自分自身はコントロールできる。無理の無い範囲で昨日できなかったことを今日はできた等、小さな成功体験を積み上げてください。最後に、新卒入社時に読んでおくべき書籍を紹介します。


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