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(続)友人が外貨建て保険を買っていた話

前回のnoteで、友人が外貨建て保険を買った話をしました。

利益確定目標額に達したので、銀行に相談に行ったようです。
すると、窓口の人が新たな商品を紹介してきたそうです。

その商品とは…。
違う漢字生命保険会社の「外貨建て保険」を出してきました!

銀行なのに、銀行員が勧める商品が保険って…。
銀行としてのプライドがないんですかね(笑)

紹介された保険はこれ

提案書を見せてもらったのですが、その保険はこんな保険でした。

外貨建て1

この保険の正式名称は、
「指定通貨建積立利率変動型一時払終身保険(米ドル建・豪ドル建)」です。
なんとも長い保険の名前ですね。
ひとつずつ分解してみます。
 ①「指定通貨建」・・・米ドルか豪ドル
 ②「積立利率変動型」・・・積立利率が10年ごとに変動
 ③「一時払い」・・・年払いとかではなくて、保険料をまとめて支払い
 ④「終身保険」・・・保険期間が、亡くなるか解約するまで続く

これって、①~③は、10年固定の外貨定期預金と同じじゃないですか?

亡くなった場合の死亡保障金額について

この保険に加入中に亡くなった場合の死亡保障金額は、払い込まれた一時払い保険料の金額が指定外貨建てで最低保証されていますが、日本円での最低保証はされていません。
保険金を受け取るタイミングで、大幅な円高になった場合には、元本割れをする可能性があります。
そこは、ちゃんと保険会社も考えています。
円建死亡保険金特約」というのがあり、契約から5年間は円建てでも払い込まれた日本円の補償ができるようになっています。

ただし、その特約を付けると積立利率が少なくなってしまいます。
いわゆる「為替ヘッジ」というものですね。

10年間金利が契約時に確定される

ちなみにこの保険の現在の積立利率は、
「年0.87%」(21.2.16~21.2.28契約期間)です。
高いですか?安いですか?
日本の定期預金の金利は、ここのところずっと「0.01%」なので比べたら無茶苦茶高いですよね!87倍ですよ!
ただし、この利率が10年間固定されます。
ここが問題です!
保険で運用している米国10年国債のチャートです

外貨建て2

10年前は、3.47%の利率がありました。
現在は底を打っていますが、また上昇する気配があります。
ここで契約した場合、金利が元の3%近くまで上がっても、
もらえる利率は、契約した際の利率のままです。

途中で解約した場合は解約手数料が発生する

死亡生命保険を契約して、途中で保険を解約すると、解約手数料が発生します。
この生命保険も、10年目までは解約手数料が発生します。
最大5%の手数料が保険会社に取られてしまいます。

外貨建て保険3

市場価格調整という謎の手数料

解約時に戻ってくる解約払戻金は、上で説明した解約手数料に加えて、
市場価格(金利)調整」も加わってきます。
ここが一番重要なところです!

外貨建て保険4

外貨建て保険は、外国の債券で運用しています。
米国ドル建てなら、米国の国債を購入しています。
この「市場価格調整」というのは、保険を解約するときに、契約時に購入した国債を売って解約払戻金として支払うことになります。
その際に、保険を契約したときの国債の利率よりも、解約するときの利率が高ければ解約払戻金が減り、逆に低ければ資産が増えるしくみになっています。
ここは一番重要なのでじっくり説明します。

保険者が外貨建て保険に加入して保険会社は利率2%の債券を100万円分購入しました。

外貨建て5

その後、契約者から解約の申し出があったので、保険会社は持っている債券を売って解約払戻金を準備します。
しかし、世間には利率が3%の債券が発行されています。
そうなると、利率2%の債券を欲しい人はいません
よね。

外貨建て6

それでも、保険会社は解約払戻金を準備しないといけないので、価格を下げて2%の債券を買ってもらおうとします。

外貨建て7

その結果、契約者に戻ってくるお金は減ってしまいます。
つまり、解約するとき、契約時に購入した債券の金利に魅力がなければ買ってくれる投資家がいないので、価格を下げて売却する分、用意できる解約払戻金は減るということになります。

逆に市場金利が下がるとプレミア価格をつけてでも購入する投資家がいるので、解約払戻金は増えます。

ということでもう一度このグラフをみてください。

外貨建て2

理解できましたか?

現在の米国10年国債の利回りは、グラフの右側です。
金利が一番低いところです。
ということは、これ以上金利が下がることはほとんど考えにくいですよね。
債券利回りが上がる可能性が高いので、

解約時に市場価格調整で解約払戻金が・・・・
「下がる」可能性が高いということになります。

ということは・・・・。
グラフの左側で外貨建て保険を契約した人は、
解約すると解約払戻金が想定以上に増えている可能性があるということです。

まとめ

2回に分けて友人が外貨建て保険にまつわる話を聞かせてくれたので、自分も外貨建て保険についてかなり勉強をしました。
友人に感謝です。

結論として、
・そもそも外貨建て保険は、資産運用として使うものではない。
・為替リスク、国債利回り、手数料等のしくみを知らない人は手を出さない
・銀行員のおススメは絶対に怪しい

コロナ禍のようなどんよりとした世の中では、怪しい投資話が必ず出てきます。
きちんと内容を理解してわからないものには絶対に手をださないようにしましょう!




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