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故郷に「行く」旅。

仙台という街は私の生まれ故郷だ。
本来生まれ故郷に行くことに対して「仙台旅行」や「仙台に行く」という言い回しはおかしいのだろう。しかし私の場合はそれが正しい。もう、感覚的に「帰る」ではなくなってしまったからだ。
よく行った海沿いのエリアにその面影はもうない。
家族と呼べる人もそこには誰もいない。
育った家はGoogle Mapsで見ると荒れ放題。
私の「地元」はもはや私の思い出の中にしかないのでは、などと考えてしまう。

それでも私は数少ない何かの面影を探すために毎年故郷に「行く」のだ。下書きのような記憶を清書するように。
今回は小学生ぶりにウイスキー工場に足を運んだ。変わらない工場の中に記憶が蘇る。四半世紀近く前、確かに私はそこに存在していた。子供なのに、お酒の香りが好きだった私が。
ウイスキーの味と共に新しく記録された記憶、そこには小さかった私に微笑むもう一人の自分がいる気がした。

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